武庫川女子大学


「武庫川女子大学」の制服について

学校概要

大阪と神戸の中間、兵庫県西宮市に本拠を構え、大学12学部20学科、短大3学科を有する総合大学である(2024年度)。

1939年に創設された武庫川高等女学校を前身とし、設置母体は学校法人武庫川学院である。

同大学公式サイトによると、2023年5月現在で学生数は、学部9,245名、短大585名、大学院238名、音楽専攻科2名で合計10,070名という。

2019年に80周年を向かえ、伝統あるお嬢様大学として近畿地方を中心に人気のある大学で、学部学科をさらに新設し発展を続けている。一方で短大は縮小傾向でいずれ廃止となるかもしれない。略して、武庫女(ムコジョ)と呼ばれることもある。

附属校として、中学校・高等学校があるほか、幼稚園と保育園(2010年4月開園)がある。


制服概要

武庫川女子大学の制服は、1949年の創設以来、現在に至るまで一貫して黒いスーツ型なのだが、2回のモデルチェンジ(1999=H11年、2015=H27年)を経て現在の制服は3代目である。

 

この大学と短大に通う学生は、1991(H03)年3月まで指定の制服を常時着用する義務があった。女子大学で制服を指定しているところは多数存在していたが、通学するときは必ず制服を着用しなければならない、という義務を課していた大学は当時でも珍しい。その制服は白のブラウスに黒い上着とスカートという極めて地味なもので、お洒落をしたい年頃の女子大生にとって、苦痛を強いられたに違いない。

1991年4月以降は制服の常時着用義務が廃止され、以後現在に至るまで式典や大学指定行事のみの着用となっている。指定の制服はあるが、旧制服の着用も認められており、ブラウスも白いものであれば指定品でなくてもよいなど厳密なものではない。


歴史

武庫川女子大学(短大含む、以下同)の制服の歴史については、当の武庫川学院のサイト資料にも詳しくない。なので、私の個人的な資料なども駆使して、これまでの流れを考察してみたい。

1939年2月 武庫川学院創設

同年4月 武庫川高等女学校開校

1946年4月 武庫川女子専門学校開校

1947年4月 武庫川学院中学校開校(1995年 武庫川女子大学附属中学校に改称)

1948年4月 武庫川学院高等学校開校(1995年 武庫川女子大学附属高等学校に改称)

1949年4月 武庫川学院女子大学開学(1958年 武庫川女子大学に改称)

同年4月 初代制服制定(推定)

1950年4月 武庫川学院女子短期大学開学(1985年 武庫川女子大学短期大学部に改称)

1958年4月 武庫川学院女子大学→武庫川女子大学に改称

同年4月 初代制服常時着用義務化(推定)

1985年4月 武庫川学院女子短期大学→武庫川女子大学短期大学部に改称

1991年4月 初代制服着用自由化

1999年4月 制服2代目にモデルチェンジ(推定)

同年4月 武庫川学院校章統一

2015年4月 制服3代目(現行)にモデルチェンジ

2019年  創立80周年

日本においては、1945年の終戦により戦後の新社会に適した学制に改編する、いわゆる学制改革が行われることになるのだが、同年12月に女子教育刷新要綱が閣議で了承されたことを受け、学制改革を待たずに、翌1946年度に女子専門学校が創設されることとなった。武庫川学院もこの流れに従って、旧専門学校令のもと、同年に武庫川女子専門学校を開校している。

その後、1947年の学校教育法の制定により旧専門学校令は廃止され、1949年になると旧制専門学校の大半が新制の大学・短大へ改編される。武庫川学院の女子大学もこの時期に大学を開設している。

旧制専門学校の在校生に関しては、修業年限が終了するまでの間、新制大学の下で旧制専門学校の身分が存続しており、武庫川女子専門学校の学生は1946年入学(49年卒業)の1期生から1948年入学の3期生まで存在していたことになる。なお、1949年の入学生については新制大学の所属となる。



制服紹介

初代制服(旧制服)

1949~1998年度

1949年4月の大学開学より、1998年4月入学生(推定)まで採用されていた初代制服は、上下黒色のスカートスーツで、白いブラウスを着る。左の襟に校章バッジをつけるが、ネクタイやリボンの類はない。外観はきわめて地味で、学外からはカラスと揶揄する声もあり、特に後期には学生自身の評判も芳しくなかったようだ。そのせいか、1980年代の証言として、きちんと着る必要があるのは指定の上着のみで、スカートは黒色、ブラウスは白色であれば指定品でなくとも黙認されていたという。

唯一特徴的だったのは、上着の裏地が派手な水色だったことで、腕に抱えて歩くとき奇麗な裏地が垣間見えて、武庫女の学生だとすぐに分かった。

この制服は、1991年3月まで、大学生も短大生も通学時には常時着用する義務があった。




2代目制服(旧制服)

1999~2014年度

水色裏地が特徴の初代制服も、デザインや機能の面から、いささか時代遅れの感が生じてきた。そのため、1999年入学生より初めてのモデルチェンジが敢行された。

2代目制服は、初代制服のイメージを引き継ぎ、黒のスカートスーツだが、随所に新しさを取り入れている。たとえば、上着の着丈を長くして制服らしさを排除し、全体的に軽くなって着心地にも配慮している。個人的に残念なのは、初代制服の特徴だった派手な水色裏地が、黒色の裏地になってしまったことで、この点では没個性と言わざるを得ない。

初代制服は1991年4月より常時着用の義務がなくなったが、この制服も同じで、入学式とそれに続く1週間ほどのオリエンテーション期間、それ以外は卒業式や学校指定の行事・イベント、大学を代表して学外行事に参加する場合などに限られ、着用の機会が少ない学生の場合は、4年間の在学中で式典のみということも多かったようだ。このモデルは2015年にモデルチェンジされるまで約15年間採用された。 




新制服(3代目 現行モデル)

2015年度~現在

3代目となる新制服が登場したのは2015年4月の新入学生からだ。この年、4月3日(金)に大学(約1,700名)の、4日(土)に短大(約800名)の入学式が行われ、合計で約2,500名分の制服が新調されたことになる。

初代制服から続く黒いスーツ型のイメージは3代目にも受け継がれているが、初代制服と比べると、自重もずいぶんと軽くて活動的な印象である。長く使える実用性を重視したものだと思える。着丈が長めで少しもっさりとした印象だった旧制服(2代目)の上着と比較しても、現代の就活女子が普通に着ているスーツのデザインになっているので、卒業後もビジネススーツとして着続けることができそうだ。

なお、学校で制服購入の際にセットで入手できる指定ブラウスは、事務服メーカーの「SELERY」である。また、ユニクロで購入できる、似たようなデザインのブラウスも制服として着用してもよいとのこと。

この制服も、入学式・卒業式などの式典や学校指定の公式行事などにのみ着用義務があるだけで、4年間在学しても就職活動などに使用していなければ、実際の着用は僅か数日だけという学生も多い。

ただ、僅かな使用頻度であっても、上着の袖やスカートの後ろにはうっすらとテカリが生じ、スカートの裏地には座りジワが付いてしまうのは仕方の無いことだろう。

画像:メルカリ クマコ



中古市場状況

2015年度入学生から着用が開始された3代目制服(現行制服)は、2024年現在、当初頻繁にフリマサイトなどに出品されていた2代目制服に取って代わられ、多く目にするようになった。ヤフオクや大手フリマサイトでは、中古の学校制服の取引が原則禁止されているが、大学のスーツ制服は大目に見られているようである。

初代制服はモデルチェンジしてから20年以上ほど経つために、出品は皆無に近い。この制服は50年ものあいだ着用期間があったものの、当時はまだインターネットなどの中古制服売買の場がなく、お下がりなどで知り合い同士で譲り合うぐらいしか再利用の道がなかった。制服自体の学生の評判も良くなかったせいもあり、卒業生は何の未練もなく処分してしまう例も多かっただろう。

その点、2代目制服は恵まれていて、リサイクル・リユースの風潮も追い風となり、ネット上やリサイクル店などの市場に多数出品されていた。大学制服としてだけではなく、一般の黒いスーツ、あるいはブラックフォーマルスーツとして売りに出されるケースもある。

現行の3代目新制服については、最初の卒業生(短大生 約800名)が出たのが2017年で、2018年と併せても1,600名ていどと総数が少なく、4年制学部卒業生が出始めた後の2020年ごろでさえ中古品はほとんど見られなかった。理由として、制服のデザインが市販のリクルートスーツなどと比べても見劣りしないことなどから卒業と同時に手放す学生も少ないのではないかと思われたが、最初の卒業生排出から6年たった今では、ネット上の中古市場ではメインの取引対象となっている。幸いにも、その多くは新入生がリユース目的で購入しているようだ。

中古市場での取引価格は、新品で購入した場合の1/2~1/3ていどである。

なお、学校としては、過去3代の制服のいずれを着用して入学式などに列席しても構わないとしているので、新入生でサイズが合う中古制服を見つけたならば、どれでも購入してよいだろう。むろんデザイン上の違いを気にしなければであるが。代々武庫川女子大学に通う一族であるならば、親や祖母が着ていた古い制服に、もういちど陽の目を見せてやっていただければ嬉しい限りである。


武庫川学院の中高大それぞれの卒業証書を入れるファイル。

左から、中学校、高校、大学である。



2020年度入学式中止

新型コロナウイルス感染予防対策で、学校行事や授業が軒並み中止になっているが、特に可哀想なのが、制服のある大学である。

武庫川女子大学の制服は現在、在学中常時着用の義務はないが、新入生は入学式とその後の数日のオリエンテーション期間に着用することになっている。

ところが、2020年は入学式とその後の行事が中止となり、制服は一度も出番がないままである。このままだと、在学中の着用は卒業式のみの一日だけという、新品同様の程度の良い中古制服が市場に出てくることになるだろう。


ネットフリマ出品例

メルカリに、まさに新型コロナの影響で式典にさえ着用されなかった制服が出品されていた。

画像:メルカリ スナフキン

<メルカリ出品例>ーSOLD26900

画像:メルカリ スナフキン

武庫川女子大学の制服

去年(2022年)の3月卒業です。

コロナ渦で登校できず、入卒業式さえも着用していません。

就活で2回短時間着用のみの美品です。

スーツ自体新品の光沢あり

クリーニング済み綺麗な状態です。

スカートはもう2枚

新品の別サイズもお付け致します。

(11号、70、74cmの3枚)

サービスなので金額には含めておりません。

不要の場合はお知らせください。

専用のお箱に入れて発送いたします。