演奏会(コンサート)

ポピュラー/ロック

・ドレス

某女性歌手のコンサートで使用されたドレスは、本人が成人式のときに着用した振袖をリメイクしたものだったという例もあるが、有名プロ歌手は歌に合わせて専用のドレスを新調する。セミプロやアマチュアでは、レンタルを利用したり、程度のよい中古品を手配したりする。

ひと昔前のアイドルは、それぞれに個性を発揮していて楽しませてくれたものだ。

 

・専用衣装

AKB48や乃木坂46など、イメージを表すステージ衣装として作られる専用のものがある。大勢が一堂に会する場合、似たような衣装で混乱が起きないよう、各衣装には番号または氏名が縫い付けられている。

 

・私服系

市販されている一般ブランドの衣類をステージ衣装として使用する。NHK「のど自慢」など素人のステージでは、手作りする例もある。一度きりのステージで使われた後は、そのまま捨てられるか、近場の余興で使われるか。奇抜でなければ、日常着にされるものもあるだろう。

 

・和服

演歌系の歌手のなかには、1枚が数百万円もする和服を着用する人も少なくない。そこまで高価なものでなくても、数が増えてくると個人では管理できないので、呉服店などに預けて保管・メンテ等を行ってもらうこともある。

また、外国人歌手が和服を羽織るなどしてラフな着付けでステージ衣装として使用する例もある。ハードロック系の歌手の場合、引き摺られたり汗だくにされたりと、和服ではなくタオルのように乱暴に扱われる。

 

<ドラマ/映画/舞台衣装>-舞台/ステージ

 


クラシック

・オーケストラ

オーケストラの女性楽団員は通常、黒い衣装であればデザインなどは特に問われないことが普通で、さまざまな生地質や形状の洋服が着用される。黒いブラウスに、黒いスラックスかロングスカートもあれば、光沢生地の黒いワンピースもあったりする。

クラシック演奏家すべてに通じることであるが、衣装選びの際、シャカシャカといった衣擦れの音が大きく出るものは避けるべきである。

 

・ピアノ

ほとんどがロング丈のドレスであるが、座るときにドレスを気にしない演奏家もいる。また尻に敷く場合の心地悪さを回避するために、敢えて生地にゆとりを持たせて座る演奏家もいる。

演奏中は腰を浮かせたりしてバウンスすることも多いので、尻に敷かれた部分はシワも付くし、汗ジミも心配である。ドレスの裾は床に着いて、動きに従って擦ってしまう。

頻繁にペダル操作する必要がある楽曲では、ドレスの下は足が激しく動かされている。

 

・バイオリン/ビオラ

ソロは起立状態で演奏するので、ドレスは尻に敷かれることはないが、身体の揺れによる振動やロング丈の裾が床に触れることによる汚れが心配である。また、手の汗を拭われることもある。

弦楽アンサンブルなどの場合は着席して演奏することがあるが、ロングドレスは裾を床に這わせるので、その上を譜面台(=見台、楽譜スタンド)が踏んづけていることもある。

楽器本体を左の鎖骨の付け根あたりと顎で挟むので、肩を覆う衣装の場合は、肩当てが衣装に当たっている。もっとも、両腕を自由に動かせるようにとの配慮から、袖のないデザインや肩を出したデザインの衣装が選ばれることが多いようだ。最近では、左側のみ開けたワンショルダーのデザインの(右側にショルダー部分がある)ものも人気である。

同じ理由で、左右非対称のデザインのドレスを選ぶ場合は、右側に装飾が集中しているものを選ぶのもコツである。ソロの演奏家は、立ち姿が美しいものを選ぶことと、好みに合わせてスカート部分の揺れ具合も考慮されるべきと思う。個人的には、光沢生地のほうが、ライトに照らされてきれいに輝くと思う。

 

・チェロ

両脚を少し開いた状態で椅子に腰掛け、楽器を両脚で挟むように構える。ドレスの裾は広げられて床にべったりと付く。チェロの下部についているエンドピン(スタンド)が、ドレスの裾を踏んづけている場合もある。

チェロ演奏家のドレスについては、バイオリン演奏家のように必ずしも肩を開ける必要はないが、肩を出したデザインか、またはスリーブレス(=ノースリーブ)のものが多用される。演奏に際して脚を開く必要があるので、スカート部は生地が多く、広いフレアかサーキュラーが求められる。

両脚を開くという点においては、ギタリストも同じである。

 

・声楽

バイオリンにほぼ同じ。

 

・コーラス

ドレスまたはブラウスとロングスカートを着用し、起立状態で演奏する。心配なのはバイオリンとほぼ同じ。大学などの民間サークルでは、衣装を制服として管理し、代々受け継いだり、持ち回りで着用することが多い。


ロングドレスを選ぶ場合、着丈は起立した状態で、裾が床に着くかつかないかぐらいの長さ、あるいは少し引きずるぐらいの長さで着る。なので、ロングドレスの裾が床に着くなんてことは当たり前で、誰も気にしない。身体の動きに合わせて床をけっこう擦っているので、1回のステージでも裾の汚れはかなりひどくなる。演奏家のこだわりにも寄るが、意外にも、それぐらいのことでは、いちいちクリーニングに出したりはしない。基準は上身頃の汗ジミだろうか。

スカートの上に譜面台の脚が乗っていても、折り畳み式の譜面台自体はあまり重いものではないので、ドレスも耐えられる。ただ、サテン系の生地の場合は要注意で、ひっかき傷が致命的になるかもしれない。

プロの演奏家ほど、衣装を大切に扱う傾向にあると思う。いずれにせよ、ドレスへのいたわりの気持ちを忘れてはならない。

画像:Twitter @med_cello(医系チェロアンサンブル)





グリーン玉虫色

バイオリン奏者がソロで演奏するときに着用したステージ衣装。演奏の邪魔にならないように、オフショルダーのデザインになっている。

スカート部にも余裕があり、全身を拘束しないような造りである。生地はタフタで、ライトを浴びるとグリーンやブルーに可変的に輝きを増す。バイオリニストに着用されると、スカート部で手の汗をぬぐわれてしまうのは宿命か。



赤ピンク色

海外で活躍する日本人ピアニストのステージ衣装として使われたドレス。カラーウエディングドレスとしても有名なDressBlackブランドである。

音楽アーティストたちのステージ衣装は、パーティドレスやウエディングドレスが代用されることも多いが、ステージ衣装専門で貸し出す業者も存在する。

スカート部は大きく広がるデザイン。

裏地はしっとりしたキュプラが上から裾まで張られている。




青緑色

海外在住の日本人ピアニストがステージで着用した衣装。共布のショールが付いている。さらっとした生地の下は光沢がまぶしいサテン生地があり、外から見たときに輝きが出るように工夫されている。

上質なつるつる光沢のサテン生地も、お尻の下に敷かれて数時間すごさねばならない。




ピアノ

子供の発表会を見ていると、椅子の座り方は十人十色で個性が出る。ふだん着慣れないドレスを着ているので、ある程度は仕方がないと思うが、何の躊躇いも無くどしゃっと椅子に腰を降ろす子も多い。尻の下でしわくちゃにされている衣装のことを想う。

大人も例外ではなく、ドレスを気にしない女性もいる。振袖での演奏は、袖が床を擦る。



バイオリン

オーケストラのバイオリンパートは着席して弾くが、ソロ・パフォーマンスでは、立位で引くことも多い。着用されているサテン系の衣装が激しく揺らされる。



衣装は、演奏に合わせて激しく揺らされる。フレアスカートなどが揺れる動きは好きだが、衣装はつらい思いをしているだろうか。




エレクトーン

Yamahaエレクトーンの演奏には、ペダル鍵盤(足鍵盤=ベースパート)を多用する。左右に激しく動く足にスカートやドレスの裾が揺らされ、尻に敷かれた生地が揉まれる。