携帯電話ショップ 店員

携帯電話各社は直営ショップを持っていて、制服を着た女性たちが迎えてくれる。

店頭に立ったり、手続きカウンターに座っていたりと、制服にとっても苛酷な職場だ。

また、会社の顔として、制服はおおむね4-5年ぐらいでモデルチェンジされてしまう運命だ。


auショップ

以前使われていたデザインの制服。濃紺のスリーピースにブラウス、首にスカーフを巻くという制服らしいデザインである。しっかりした上質な生地が使われていて長持ちしそうだが、モデルチェンジしたら、あっけなく不要品となる。

カウンターの椅子に座っている時間も長いため、上着の肘はテカリやすいし、スカートには座りジワができやすい。

上着を脱いで仕事をしていると、ブラウスの肘も摩耗するし、汚れもひどくなろう。

仕事が忙しいので、制服の扱いも雑だ。

脱いだ上着をカウンターの後ろの棚に投げ置いて、その上に重そうな書類一式をドンと載せている光景を見たことがある。

下敷きにされた上着は苦しそうに喘いでいたが、誰も見向きもしない。

スカートの後ろ裾にシングルベントがある。

立ったり座ったりの動作が頻繁なので、スカートの生地がシワになろうと気にする余裕はない。

スカーフの結び方などはいつも気にしているのに、スカートには無頓着だ。

バックヤードの物置スペースには、制服の上着が雑に置かれていた。裏地が思いきり晒されている。左上に少し見えているのはブラウスだ。これも乱雑に放り出されている。これら制服たちは退職者のものか何かで、もう処分される運命だったのだろうか。まだまだじゅうぶんに着られる綺麗なものなのに。


J-Phone東海 ショップ(Vodafone)

ソフトバンクという携帯電話会社の前身がボーダフォン(Vodafone)で、そのもう1世代前、2000年ごろにJ-Phone(J-フォン、ジェイフォン)という会社が存在し、J-Phone東日本、J-Phone西日本、そしてJ-Phone東海の3社がそれぞれのエリアを担当していた。

その昔、東海地方の某地方都市で携帯電話の機種変更をしようと、ショップへ立ち寄ったことがあるが、そのときに応対してくれた女性がとても可愛らしい制服を着用していた。J-Phone東海の正式な制服である。全国統一モデルではなかったかもしれないが、少なくとも当時の東海エリアのJ-Phoneショップではすべて同じ制服だったようだ。濃紺色のスカートスーツに光沢生地のブラウス。初めて見たとき、ボレロの縁でつやつや光るサテンテープと首もとの大きなリボンタイが妖艶すぎて、一目惚れしてしまった。

J-Phone
J-フォン

ジェイフォン
J-Phone東海

画像:Yahoo!オークション


上着はボレロで、胸元に大きめのボタンがひとつだけ付いている。ふち周りと袖口にサテンテープが貼られていて、つやつや光る。左右に切りポケットがひとつずつと、左胸に切りポケットがひとつ付いている。ちなみに内ポケットはない。

スカートはやや広がったAラインで、ベントやプリーツの類はない。裏地もスリットはなく、表地に沿って張られている。左右にポケットがあり、後ろジッパーである。

上下の生地は、よく見るとさりげなくストライプの地模様が入っている。裏地は上下とも表地と同系色の濃紺色だ。ボレロに特徴的なサテンテープは、裾まわりと袖口の裏側にも貼られている。

ブラウスは、ブルー色とレッド色の2種類あり、夏仕様として半袖も存在する。ほんのり光沢のある生地で、胸元の大きな共布リボンがシンボル的なアクセントになっている。リボンは結ばれた形のまま取り外しが可能だ。

メーカーはミドリ安全株式会社。ボレロとスカートの素材は、表地:ポリエステル50毛50%で、サテンテープはポリエステル100%。裏地:ポリエステル100%である。タグによるとドライクリーニングオンリーだ。ブラウスはポリエステル80綿20%で、こちらは手洗い可となっている。

 

この制服は基本的にはJ-Phone東海の指定品だったが、のちに(2001年)J-Phoneグループが英国Vodafone傘下に入ったときも、完全に社名変更する2003年まではこの制服が活躍していた。J-Phoneが東・西・東海三社体制になったのが2000年なので、採用期間は3年ほどということになろうか。

正確に言うと、J-Phone東海のころはブルーのブラウスで、Vodafone傘下に入ったときにブラウスのみ赤い色に変更されたそうである。イメージカラーがJ-Phoneはブルー、Vodafoneはレッドだったからだろう。

当時、機種変更に際して数回店舗を訪れたが、間近で見るこの制服は素敵すぎた。ボレロスタイルの上着が可愛らしく、スタッフが身体をよじるたびに前合わせ部分が揺れ、上着のサテンテープがつやつや光る。覆い被さるように、大きすぎるとも思われるブラウスのリボンがふさふさ揺れる。やや広がったシルエットのスカートもひらひらして、店内をうろうろする姿をガン見してしまうほどだ。担当のお姉さんは、私のただならぬ視線を感じていたのか、いま思うと妙ににやにやしていた。

その後、用もないのに他店舗もあちこち訪問して制服姿を探し回った。いや、用がないというわけではなく、制服を観に行くという立派な用事があったわけだが。

この制服は原則として退職時には回収され、昔の制服としては珍しく管理も厳しかったようで、いわゆる中古市場ではほとんど見られなかった。素晴らしく素敵な制服だけに、もったいない話である。

 

余談だが、J-フォン東海の前身は「東海デジタルホン」である。地元の人ならば、鈴木杏樹さんがテレビのCMで「ホンホン」言っていたのをご記憶にあるだろう(笑)。

https://www.youtube.com/watch?v=dup4eM3-s-U

ああ、そんなことより、J-フォンがすっかりボーダフォンに変わったとき、ショップスタッフの新制服にはつくづくがっかりさせられた記憶がある。興味がおありの方は、当時の制服を検索してみていただきたい。グレーのジャンパーのようなジャケットである。あのとき私を担当してくれたお姉さんもショックを受けたに違いない。彼女はJ-フォン制服を颯爽と着こなしていて、彼女自身も、制服も、両方ともきらめいていたのだった。

【超貴重】ボーダフォン 制服 vodafone スカーフ 名札セット (aucfree.com)


NTTドコモ

各携帯電話会社ではときどきキャンペーンを集中的に行い、店頭などでキャンペーンガールが華々しく販売アシストを行う。目立つように制服も工夫が見られる。

ドコモのキャンペーンガールが冬に着用するオーバーコート。

真っ赤な色合いで目立つ。ウールコート仕様で上質だ。

使用時期が過ぎれば当然お払い箱になる運命である。

前身ごろにDoCoMoのワッペンが付いているが、これを外せば、普通のコートとして着られると思ったが・・・。

背中にはDoCoMoのロゴが大きくプリントされている。これだと、普通のコートして着ることは無理だ。ということは、キャンペーンが終了して一定の期間が過ぎれば、もう御役御免の不要品となってしまう。

コートの裾の両サイドにはスリットが入っていて、裏地はツルツル生地の総裏という立派なコートなのに・・・。