韓服というと、男女のすべての伝統衣装を指すことが多いが、この項ではその代表格の女性用衣装チマチョゴリについて記す。
韓国朝鮮の民族衣装であるチマチョゴリは、ワンピースではなく上下別々の衣類だ。短い着丈の上衣(チョゴリ)とスカート状の下衣(チマ)のセットを基本とする。生地質は様々あるが、サテンのものが光沢を放って美しい。
下にはソッチマという専用の下着を着用する。着脱は和服と比べるとはるかに簡単である。
チマは巻きスカートの形状をしていて、生地たっぷりに仕立てられている。床を引き摺るほどのロング丈なので、ふつうに歩くだけでも裾を引き摺ることが多い。韓国の歴史ドラマでも、チマの裾が泥だらけになっているのをよく見られる。
チマチョゴリの上に羽織るコートのようなもの(トゥルマギ、チァンオッ、スゲチマなど)もある。
日本の朝鮮学校などでは、制服としてチマチョゴリ型の物を採用しているが、制服を着ていて嫌がらせを受けたことがあるせいか、最近は第二制服を登下校時に着用しているので、校外ではあまり見かけなくなった。特徴的で優雅なシルエットなのに、寂しい限りである。
夢市場(韓国衣装の店)https://www.yumeichiba.jp/
Life in Korea文化特集 http://www.lifeinkorea.com/culture/clothes/clothesj.cfm?xURL=female
上半身には着丈が極端に短いチョゴリを着て、下は床を引き摺るぐらいの生地たっぷりのチマを付ける。
チョゴリ(ジャケット)には共布のリボン状のベルトが付いていて、前を合わせて結ぶのが愛らしい。
画像:Amazon Plus one
チマ(スカート)は肩から吊るすような形状で、かなり胸高の位置で身に着ける。巻きスカート型になっているのが普通だ。中にはソッチマという長いペチコート風の下着をつけると、チマにボリューム感が出て愛らしい。
画像:BODAIJU
お祝い着用のチマチョゴリ。シルキーな光沢に派手な金箔入りの柄が入っている。写真の衣装は生地にハリがあって、しっかりしたサテンで仕立てられている。揺らしたときの衣擦れの音が艶めかしい。
画像:ヤフオク kariporiman
伝統衣装のチマチョゴリの下に着る下着である。これを着ると、チマ(スカート)がふわっと広がってゆったりしたシルエットになる。形状はチマにほぼ同じだが、巻きではない。
画像:メルカリ画室華花-1,300
韓国の観光地などのほか、日本国内でもチマチョゴリや韓服を試着体験することができる。レンタルで自由に選び、スタジオ内で写真を撮ったり、外を自由に散策することができるサービスを提供しているところもある。
ずらりと並んだ衣装たちは、いろんな意味でドキドキしながら、どんな女性に着られるのか待っている。いろんな意味というのは、着用されているときのしぐさや扱いも気になるからである。丁寧に楽しんでくれることを祈るばかりだ。お店側にはメンテがきちんとされることを希望する。
まれに男性が女性用の衣装を身に着けることもあるらしいが、そんなことをされた女性用衣装の気持ちはどうなのだろう?
ドラマでは、王女クラスの女性たちが豪華な光沢衣装を身に着けて登場するが、確かにそれもイイ(笑)。だが、個人的には、宮廷に仕える女官たちや下働きの女性たちのチマチョゴリ姿に萌えてしまうのだ。
写真は『チャングムの誓い』テーマパークのものだが、実際に撮影に使われた衣装が展示され、またそのレプリカ衣装を体験することもできるという。
ドラマの中では、忙しく動き回る女官たちのチマの裾が、地面に引き摺られてドロドロに汚れていたりする。かなり動きやすい衣類と見えて、動作が奔放なのだ。だから、衣装もかなり乱暴に着られているように見えてしまう。
個人的には、チャングムたちのエプロン姿に異常に萌えたことを思い出す(笑)。
また歴史ドラマでは、何の罪もない女官が捕らえられ、激しい拷問を受けてなぶり殺しにされるという場面があったりする。きれいな光沢生地なのに、まったく躊躇うことなく縛り上げられ、水責めにされ、鞭打たれ、血まみれにされて放り出されたりする。俳優たちはカットが掛かると演技終了だが、衣装にとってはすべてが現実世界なのだ。
寒い日にチマチョゴリの上に着る外套である。通常、長袖で裏地付きで仕立てられるが、韓国ドラマでは、女性が袖を通さずに肩に羽織ったり、頭から被ったりしている。また、何も持たないと落ち着かないのか、着る必要がなくても腕に抱えて歩く姿も見られる。
ダムヨン氏のブログに画像が多く掲載されている。
袖にある外套が、袖も通されずに羽織られるだけというのは、なんだがイージーに着られているようで可哀想に思えてしまう。また、頭から被ると、鬢付け油やフケで汚れてしまいそうだ。
袖がだらりと垂れ下がって揺れる様子に萌える。きちんと袖を通してきてあげてほしいと思ってしまうが、袖を通して着ることのほうが稀のようだ。
下の右の写真の二人の人物のうち、左(顔が見えているほう)が羽織っているのは、スゲチマと呼ばれるもの。用途はほぼ同じだが形状が異なる。
ドラマでは、トゥルマギを腕に抱えている姿も多く見られる。高級そうな光沢生地のものが雑に持ち運ばれているのを見ると、可哀想で興奮してしまう。
『火の女神ジョンイ』というドラマで、ファリョンという役の女性が、外出時にいつも美しいトゥルマギを腕に抱えているのを楽しみに観ていた。彼女が持つシルキーなトゥルマギには数種類あって、どれもいつもきちんと畳まれていて好感が持てた。
『火の女神ジョンイ』で、あるとき、腕に抱えられたトゥルマギに災難が降りかかる。襲われた男性のもとに駆け寄ったファリョンは、トゥルマギに構うことなく泥道にしゃがみ込むのだ。あれよあれよという間に、美しいトゥルマギは泥だらけにされてしまうのだった。
スゲチマは、朝鮮時代の女性たちが外出するときに、肩や頭から羽織った衣類だ。名前の通り、チマチョゴリのチマ(スカート)の形状をしており、袖は無い。チマは巻きスカート仕様で、ウエスト部に布紐が付いているので羽織りやすいのだろうが、実際のスゲチマは、チマよりやや短く、幅も狭いようだ。
ドラマで見かけると、スカートを頭から被っているように思えてしまい、なんだかとてもエロい気分になってしまう。
正月などに行われる民俗遊びである。チマチョゴリの晴れ着を着た女性たちが、シーソーに乗って飛び上がり、高さや格好を競う。時に転げ落ちたりして、衣装が汚されるのもお構いなし。大いに楽しもう。
日本国内にある朝鮮学校では、民族衣装であるチマチョゴリを制服として採用しているところがある。女子の多くは、登下校時にはブレザーにスカートという制服を着用し、校内ではチマチョゴリを着るという。
主に、冬服は黒の上下、夏服は上が白で、下が黒または紺色というパターンが多い。チマが細かなプリーツになっているのが可愛らしい。
昔はチマチョゴリ制服のまま登下校している姿もよく見られた。ふと街で見かけた生徒の姿に、珍しい制服もあるものだなと興味津々になったものだ。可愛らしい子が、プリーツたっぷりの長いスカートを、ひらひらさせながら歩いている姿にはワクワクする。
その後、心無い中傷など危険な目に遭う生徒もいたせいか、外で見かける機会が減ってしまったのは残念である。
画像:株式会社ドリームホップ
チマ(スカート)は、伝統的なチマチョゴリと同じく、吊りベストのような形式になっている。写真は、長年使われて、継ぎはぎだらけになったベスト部分だ。大切に使われている制服は微笑ましい。
画像:ブログ アトリエクルム
朝鮮学校の夏服上下。チマ(スカート)には白い吊りベストが付いている。上にチョゴリを着ても透けることは無さそうだ。
画像:ヤフオクosyare_taoru-21,050
1999年4月より導入されたブレザーは第二制服という位置づけで、登下校時に着用する。校内では第一制服であるチマチョゴリを着用して過ごす。日本で以前、チマチョゴリ制服を着ていた生徒が嫌がらせを受けたりする事件があったため、伝統衣装が校内のみの着用になってしまったようだ。第一制服(チマチョゴリ)は上下黒一色というパターンがほとんどだが、どうせ校内のみの着用ならば、もっと派手な色合いのものにしてもよいのではないかと思ってしまう。
第二制服(ブレザー)は外でしか着られないので、着用時間としては長くなく、出番もあまりない。一方で、第一制服であるチマチョゴリは、主に学校内という狭い空間でのみ使われる。どちらもいろんな意味で可哀想である。
朝鮮高校無償化に関する裁判についてのポスターに、第一と第二制服が重ねて写されている。チマチョゴリとブレザーがそれぞれ何かを象徴しているのだろうか。制服は所属団体を代表する意味合いもあるので、ここに限ったことではないが、ときに大きなものを背負わされる。
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最終更新日:2024年11月16日
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