チャイナドレス (旗袍/長衫)

チャイナドレスと言われて日本人がイメージするのは、サテン生地でできていて、ボディコンシャスなシルエットで、左右の裾に長いスリットが入ったワンピースであろう。しかし、正式には旗袍(チーパオ)または長衫(チョンサム)と呼ばれている。その源は満州人の民族衣装にあり、西洋衣装の影響を受けつつ、現在の形に成ったとされる。

なお、一般的に「中国服」的な衣装は漢服と呼ばれるものである。

 

現在のチャイナドレスといわれているものも、シルエットは同じでも、生地質その他、造りなどにも微妙な違いがある。裏地はあるものとないものがあり、袖も長短あるいはスリーブレスなど様々で、着丈も床すれすれのロングからミニ丈までバリエーション豊富だ。

既製品では、袖に関して言えば、半袖のものが最も一般的で、ついでスリーブレスが多い。長袖のものは比較的少数派である。

着脱方法も種類があり、基本的には、右サイドジッパーまたはスナップボタン、紐留めで開閉するが、紐留めがあっても単なる飾りで、実際は背中ジッパー式というものも普通に存在する。

なお、紐留め式のものは、紐留めが解れてしまうと修繕は難しい。

 

チャイナドレスは体系にフィットするボディコンシャスなデザインなので、身体の動きによっては縫い目などで裂けやすいし、左右のスリットの付け根も解れやすい。着丈が長いチャイナドレスは前裾が足で蹴られるし、座り方に工夫しないと後ろ裾もシワができる。


チャイナドレスの可哀想な例

一般的なチャイナドレスは土産物店などで既製品が手に入るので、旅行者が気軽に購入してきたりするが、日本に持ち帰ってきても着る機会がほとんどなく、タンスの肥やしにされた挙句に処分されるか、中古品として売却されるものが多い。また着用されたとしても、宴会などの余興で面白半分に使われるなど、まともな着用は期待できない。

 

中華レストランや飲茶レストランなどでは、国内外を問わず、チャイナドレスをウエイトレスの制服として使っているところも多い。そのほとんどはエプロンを着けないので、飲食物で激しく汚されることになる。

航空会社のCA制服にも、チャイナドレスに似せたデザインのものが見られるし、アッパークラスなどでのサービス用に、チャイナドレスそのものを制服としている例もある。CA制服というと優雅に見えるが、その作業内容は過酷なもので、飲食や機内の埃でかなり汚れるものである。

 

また、キャバクラなどの衣装としても使われるので、チャイナドレスは制服としても広く使われる民族衣装であるといえる。デザイン的な特性上、エロいシーンでの起用も多く、アダルトビデオなどにもしばしば使用され、汚されたり縛られたりして虐待されている。

 

本来の高級品のチャイナドレスはシルク製であるが、既製品は化繊(ポリエステルまたはレーヨン)のサテンが多い。いずれもサテンであるがゆえにスレや引っ掻けなどのダメージに弱く、また水濡れによる脱色や日焼けによる褪色も起こりやすい。

陽の当たる店頭に数ヶ月さらされた展示品が、日焼けしている様子もたびたび見られる。

 

以前、衣料リサイクル店で、チャイナドレスの片脇が切り開かれて、展示品の下敷きにされているのを見たことがある。きれいな生地を再利用した例であるが、その姿があまりにも可哀想で、胸が潰れる思いだった。

 

チャイナドレスと言えば、思い出すのが、その昔、某アダルトビデオ制作会社にチャイナドレスを提供したら、演出で女の子がゲロを吐きかけてドロドロにされてしまうというシーンがあった。里子に出したばかりに可哀想なことをしたものだ。

 

台湾野球応援

プロ野球の応援チアガールたちの衣装にチャイナドレスがある。ちょっぴりエロく見えるように改造が施されていたりする。

ダンス

チャイナドレスで奔放に踊る動画がアップされている。前後の裾が蹴り飛ばされたり、蹴り上げられたり・・・。


さまざまなチャイナドレスたち

画像:ヤフオクkei_for_auct

画像:ヤフオクkariporiman

いわゆる「香港チャイナ」と呼ばれる典型的なチャイナドレス。生地質は様々なものがあるが、代表的なのは、すべすべのサテンで、刺繍がちりばめられているものである。普及している市販品には裏地がないものが多い。

表地の色あいは、赤、青、緑、黒、白、金、銀、ピンク、紫など多種多様だ。

このタイプで主なものは半袖だが、スリーブレスや七分袖タイプもある。長袖は比較的稀である。

着丈は、膝上、膝下、ロング丈が基本で、超ミニ丈は既製品を加工したものが多い。

脱着は、胸元の紐ボタンと再度ジッパーで行う。

品質はピンキリで、私は香港で1万円ほどで買ってきた赤いドレスを女性に着せて、放尿したら、色落ちしてベッドのシーツが真っ赤に染まった経験がある。

引っ張りテンションにも弱く、着衣で行為に及ぶと、縫い目などを中心にほとんど必ず綻びや裂け目ができてしまう。

 

中華圏の土産物品として出回っており、日本人観光客は、憧れや洒落で購入するものの、持ち帰っても結局出番がなく、せいぜいパーティやコスプレで1回着て箪笥の肥やしになる。しかし、ほとんどが試着程度で処分される。

ネットオークションやフリマ、街のリサイクル店ではほとんど新品状態のチャイナドレスが投げ売りされている。

また、保存状態が雑なものも少なくなく、皺くちゃのまま売りに出ている古着もよく見る。



七分袖で「裏地付き」のチャイナドレス。既製品では比較的珍しいタイプである。表地もしっとり滑らかなサテン生地だ。

この手のドレスは中華レストランのウエイトレスのユニフォームとして使われることも多い。

職業制服として酷使されると、か弱い生地で仕立てられたドレスは耐えられず、傷みも汚れも激しい



チャイナドレスは女性の体のラインにぴったりと沿わせて着用するものであるが、既製品を合わせるにはかなり難しいかもしれない。

そういう需要から、オーダーメイドも気軽に対応してくれる店が、現地には多数存在していて、観光客にも人気だ。

ただし、かなりの高額でオーダーメイドしたとしても、日本で着用する機会は多くあるわけもなく、たいていはそのまま仕舞い込まれてしまう運命だ。



ネット上やリサイクル店では、ろくに着用もされなかった哀れなチャイナドレスがひしめき合う。

でも、たとえ店に出されていても、リユースしてもらえるドレスは多くない。活用の道があるとすれば、リメイク用にバラされてしまうか、フェチに捕まって性欲解消の玩具にされるかだ。唯一、女性に着てもらえたとしたら、水商売のユニフォームとしてかもしれない。汗地味と手垢にまみれ、飲食物のシミが付けられても、ろくにクリーニングしてもらえない。



高級婦人服としてのチャイナドレス

いわゆる「香港チャイナ」もピンキリあるが、旅先で1万円前後で購入されて持ち帰り、1-2回着用の機会があるかなしかでタンスの肥やしになる。

一方で、高級仕立てのチャイナドレスというものもある。下の画像は、C'EST LA VIEブランドで8万円以上したというものだが、2回ほど着て、何年もタンスに眠っていたという。ネットフリマに出品されて7,700円でSOLDとなった。これぐらいのものだと別の女性に着てもらえているはずだと思うのだが・・・。

画像:ラクマみみさん



花嫁衣装

ネットフリマには、中国の花嫁衣装も売りに出される。下の画像は、2018年9月の中国の結婚式で数回使用したもので、5万円ほどで購入したものらしい。1,500円で投げ売りされてSOLDとなった。次の購入者にまともに使われるのか心配である。

画像:ラクマあんちゃん



中国・海南航空CA制服 三代目 チャイナドレス仕様

CAの制服として、海南航空が採用していたチャイナドレスは、七分袖で着丈は足首まであるロングタイプ。表地はつるつるサテン、裏地も付いている本格的なドレスだ。CAは優雅に見えるが、その仕事は過酷なもので、機内の埃のほか飲食物などでもかなり汚される。

画像:ヤフオクpsydropnight



チャイナサテン生地

既製品チャイナドレスによく見られるつるつるサテンの生地を「香港チャイナ」と呼ぶことがあるが、そうした生地を使って、チャイナドレスとは別の様々なデザインの衣装や小物が作られている。スカート、ワンピース、スーツ、コートなどの洋装のほか、和装の帯もあり、テーブルクロスやランナー、クッションカバーなど豊富に存在する。

つるつるサテンのチャイナドレス生地で仕立てられた膝丈のワンピース。フレアスカートが揺れると、生地が輝いて美しい。裏地は袖まである総裏で、ノーマルな白い裏地生地が使われている。



チャイナ風のスーツ上下。いわゆる香港チャイナのつるつるサテン生地で仕立てられている。タイト系Aラインのスカートが艶めかしい。中華レストランのウエイトレス制服に使われていたのかもしれない。

上着はリバーシブルになっていて、裏側は黒色のつるつるした生地が使われている。表裏どちらの面にも紐留めが付いている。

スカートは後ろ裾にシングルベント(スリット)があるが、リバーシブルではなく、普通に裏地が付いている。



チャイナ風のアウター。つるつる生地がたっぷり使われている。重量があり、濃密なチャイナドレス生地である。



↓ラップで縛られるチャイナドレス