幼稚園

通園時にのみ制服着用させている幼稚園も多い。

園内に入ると、お遊戯用の服に着替えるのだ。お着替えがうまくできるようにするためと、脱いだ衣類をきちんと整理して保管できるようにするためだ。

まだ幼い子達は、上着のボタンやスナップを乱暴に外す。そして、最初は適当に床に投げ出したりして、畳むことも出来ない。ハンガーにもきちんと掛けることができず、袖が裏返っていても平気だ。練習を重ねていくうちに、脱いだ制服の始末をひとりで出来るようになる。制服たちはそのための練習台となるのだ。

室内用の服に着替えない場合は、エプロンをつける。エプロンは汚され放題に汚される。園庭でも室内でもところ構わずに寝転がったりする。

幼稚園制服は、姉妹や保護者間でおさがりのやりとりが頻繁に行われるので、1着を2-3人の子が引き継いで着るのはふつうである。制服の記名蘭にも、数名の氏名が手書きされる。



千葉市 聖母マリア幼稚園

冬は濃紺の上着にブレーのプリーツスカート、白いブラウス。上着はしっかり総裏になっている。夏は、明るいピンク色のワンピース。これに着替え練習のためにボタンが付いている。

夏服はもちろんのこと、冬服も家庭で丸洗いできる仕様だ。幼稚園児の制服は、毎日のようにさまざまな汚れに晒される。制服のままファミレスに連れて行こうものなら、食べこぼしは当たり前のようにあるし、レストラン内のテーブルの下に潜り込んだり、汚い床を這いずり回ったりもする。じゃぶじゃぶ洗える制服でなければ成り立たない。



宇都宮市 さかえ幼稚園

セーラー服型の園服は保護者に人気のスタイルだ。前開きでスナップボタンになっていて、脱ぐときは生地を引っ張ればよいので楽だが、着るときは、幼稚園児にはスナップボタンは意外に留めにくい。そのセーラー服はカシドス系の生地で、襟裏にも裏地が付いている。

ネクタイは失くさないように縫い付けられてしまっている。



京都めぐみ幼稚園

セーラーブレザー型の上着とプリーツスカート。セーラー服の下にはブラウスを着用する。冬のセーラー服上衣は裏地が真っ白で、幼い子にとっては表裏が分かりやすいかもしれない。胸元にはセーラー服らしく、つるつるの赤いリボンタイをつける。

ちなみに男児は青いラインのセーラーブレザーになる。裏地の色は同じ。



東京女子学院幼稚園

セーラー服型の上衣のみ指定されていて、下衣は自由。ネクタイは共布で、身頃に縫い付けられている。前開きでスナップボタン留め。登園したら、着替えるために脱がなければならない。

この幼稚園は男児も女児も同じ制服を着ているので、女児から男児へのおさがりで代々受け継がれることも多い。女児に着られていた制服が男児に乱暴に扱われることも覚悟しなければならない。


ネットブログなどを見ていると、駄々をこねた女児に乱暴に脱ぎ捨てられた制服の写真がアップされていることがある。両袖がすっかり裏返しになって、床に叩きつけられたなどというのが嬉しそうに書かれている。哀れな制服の気持ちには思いが至らない。