TV番組では、ドラマやバラエティ番組などで衣装の虐待が確認できる。
ドラマでは、殺人シーンで裂かれたり血糊が付けられたりするものが目立つが、それ以外でも格闘シーンやいじめのシーンなど枚挙にいとまがない。
バラエティ番組では、お笑い芸人を中心に、着衣のまま蹴られたり、ドロドロにされたりと衣装のことなどお構いなしである。
セーラー服を着たヒロインが暴れまわるというドラマや映画は、過去から現在まで数多い。
振り回され蹴り上げられるスカートや転げ周られ鷲づかみにされるセーラー服など、可哀想で観るに耐えない。
激しいシーンでは、男性スタントが制服を着て身代わりになっている場合も多く、その動きには容赦が無い。男性に着られた上でドタンバタンされる制服はさぞたいへんだったろう。『スケ番刑事』ではセーラー服の袖が切られて、黒い裏地を晒しながら戦い続けていた。
一般生徒役の女子が柔道技で投げまくられているシーンもあった。
『スケ番刑事』は市販型のセーラー服、『セーラー服反逆同盟』はドラマ用にデザインされたセーラー服が登場した。いずれも、セーラー服なんて消耗品だと言わんばかりの乱闘ぶりだ。
AKB48およびその姉妹グループが主演する学園ドラマシリーズである。3作目まではテレビ東京制作、4作以降は日本テレビが制作している。基本的にはヤンキーが集まっている高校が舞台で、手の付けられない不良たちの日常が描かれている。学校内の女子生徒同士や他校女子生徒との暴行や乱闘シーンがてんこ盛りで、その暴力シーンは異常なほど過激である。
不良が活躍する学園ドラマはいくつもあるが、制服など衣装のダメージぶりはもっとも酷いと思われるシリーズだ。衣装たちは、さぞや怖い思いや痛い思いをしたであろう。可哀想すぎて堪らないシリーズだ。
主にはセーラー服を着用した生徒が出てくるが、着崩しはもちろんのこと、さまざまに追加された衣装がみられる。また制服も、改造されたり、切られたり、刺繍を入れられたりとされたい放題だ。前開きのセーラー服で、開いたまま着られているものもある。
暴行・乱闘シーンでは、セーラー服などの制服が巻き込まれ、ドロドロにされたり血まみれにされたりとかなり悲惨な環境に置かれている。特に記憶に残るのは、歌舞伎シスターズと称するふたりの生徒で、セーラー服の上に着物を羽織っている。いずれも着物が片袖を抜かれていたり、腰部分をひもで縛られていたりしてまともな着方はされていない。そんな状態で乱闘シーンに巻き込まれるので、着物も災難である。
制服の衣装協力・提供は、学生服専門店の株式会社コード服装のようだ。つまり、基本的には本物の学校制服が使用されている。普通の女子中高生に着られずに、ドラマで散々な目に遭わされる制服も居るのかと思うと、胸が痛む。
制服にしても、きれいな女優さんに袖を通されたときは、ワクワクしたかもしれない。でも、撮影が進むにつれ、恐ろしいシーンの連続で虐待に次ぐ虐待を受けることになる。最初はきちんとハンガーに掛けて準備されていた制服も、撮影が終わったら、汚れたり破れたりしたものは積み重ねられて放置されたかもしれない。また出番を待つ制服は、目の前で激しい凌辱を受ける仲間を見て震え上がったであろう。次は自分の番かもしれないと怯える様子は見るに堪えない。
ドラマ自体は、AKB48らがそれなりに見せ場を作っていて、よくできていると思うが、その陰に制服たちの犠牲があることを忘れないようにしたいものだ。
ヤンキーギャグ漫画原作のドラマ化。基本的にはツッパリの男子高校生が乱闘するが、セーラー服姿の女子たちの格闘シーンもたびたび登場する。スカートを翻して大暴れしたり、地面に投げた押されたり、襟を鷲づかみにされたりと、制服の傷みや汚れも多いだろう。
画像:YAHOOニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181208-00010002-realsound-ent
下働きのセイラがトマトをぶつけられて、黒いワンピースと白いエプロンが潰れたトマトでどろどろにされてしまう。トマトは潰れやすいように細工がしてあったらしい。
ファンサイトに書き込まれたメッセージには、トマトをぶつけられたセイラがかわいそう」というものばかりで、衣装が可哀想だという意見はもちろん、勿体無いという感想すらなかった。
トマトを投げつけた生徒たちが着ていた制服は、白い長袖ブラウスに部レーヨンのジャンパースカート。容赦なく汚されていくセイラの衣装を目の当たりにして、制服たちもその残酷さに身震いしたに違いない。次は我が身かもしれないと恐怖に打ち震えた制服もいただろうか。
学院のお嬢様生徒たちからトマトを投げつけられてドロドロにされた、下働きのセイラ。
この状態のまま、次の撮影のスタンバイをしたという。
撮影の前後には、みんな笑顔で楽しそうに語り合ったらしいが、ドロドロにされたエプロンとワンピースをねぎらう声は一切無かったことだろう。
画像:TBS『小公女セイラ』2009
番組制作スタッフや出演者たちは、本当に衣装に対して無頓着だ想像する。傷んだり汚れたりするシーンなのに、にこやかに笑って撮影しているかもしれない。衣装のほうは苦しくて泣いているというのに・・・。
視聴者のほうも「セイラが可哀想だ~」とかいう視点でしか見ていないだろう。
ホントに制服のことを案じる人はほとんどいない。
撮影で衣装が着られたり汚されたりするシーンがあるが、撮影用に準備を命じられたADなんかが、新しい衣装を切り裂いて監督に見せたら、「ダメだよ~、これじゃ切りすぎだよ、本番で切るとこがないじゃん」ってやり直しを命じることもあろうかと。
そうなると、1着目はオシャカで、もう1着が少し切り裂かれて本番で使われるとか。
『ひとつ屋根の下』の小梅は、夏服のセーラー服姿でレイプされる。上衣の胸元が引き裂かれ、スカーフは口に押し込まれる。レイプシーンの撮影は、衣装を傷めなくとも可能だと思われるが、いっそうのリアリティを出すためと悲壮感を引き立たせるために、裂かれる衣装は後を絶たない。
少なくとも路上に押し倒されただけでも汚れてしまう衣装・・・。
バカ殿は腰元たちをオモチャにするが、いたずらが過ぎると濡らしたり汚したりする。当然、矢羽根模様の腰元の衣装も台無しにされる。視聴者はただ笑うだけだろうが、衣装にとってはたまったものではない。
追記:当時は着物たちを台無しにする演技を、「ひどいことするなぁ」という思いで観ていたが、志村けん氏なき今となってはもう観られないことが残念でならない。
画像:フジテレビ
ザ・ドリフターズ出演の往年の生放送バラエティ番組で、冒頭のステージコントではドリフのメンバーたちが女性に扮していることもしばしばだった。早着替えも多く、それ用に改造された衣装たちが雑に脱ぎ着されていた。
舞台上でも過激なシーンが多く、印象的なのは大奥のパロディで、打掛を引っ張ったり踏んづけたり振り回したりするコントである。
最後に湯を掛けられてしまうのはあんまりである。
テレビドラマや映画でたびたび描かれている「大奥」では、女性たちの打掛姿が優美であり、豪華な衣装に目を奪われる。しかし、衣文掛けに広げられる打掛や引き摺られる裾、拷問や殺された女性たちの着物など水浸しにされたり血糊がべったり付けられたりと目が離せない。
姫様を城から救出しようとともに逃げる将軍様。廊下を渡ろうとすると床一面に撒菱(まきびし)が撒かれていて、これ以上進めない。将軍様はとっさに姫様が着ている打掛(小袖)を脱がせて撒菱の上に広げ、それを敷物にして踏んで逃げて行く。
撮影ではゴム製の擬似撒菱が使われたであろうが、ゴムであっても突起があるものに被せられた打掛は無事だっただろうか。大人ふたりに踏みしめられた打掛は傷など付かなかっただろうか。
出し物に供される衣装や布類。勢いよく場面転換するために、剥ぎ取りやすいように通常の衣類が改造されて使われる。左右に真っ二つにされたセーラー服やスカート、和服の袴など。
その一例として、弓道ガールというタイトルのパフォーマンスで、矢を放った少女が、自ら矢となって的に当たるというストーリーのエントリーがあった。女性が自分の袴を大きく捲りあげている。恥ずかしい演出に、袴も赤面したであろう。
画像:日本テレビ『全日本仮装大賞』より
珍獣ハンターと称する女性が、学校生徒でもないのにセーラー服を着て登場する。しかも、その格好で世界じゅうを旅して回るのだが、ジャングルや平原を全速力で走り回ったり、地面の上を転げまわったり、、動物と絡んだりするのである。セーラー服も各種あり、夏服の半袖や中間服、そして冬服の白い生地のセーラー服などが使われている。また、セーラー服以外に振袖やドレスなども着用されることがあるが、番組でやることは同じだ。
衛生環境が必ずしも良くない場所に行ったり、危険な動物や昆虫などを相手にして、衣装のことなどお構いなしに闊達に動き回る様子に、視聴者はただはらはらドキドキするばかりだ。
衣装は、激しい動きに傷むだろうし、汗はもちろん、土埃や泥、動物たちの体液などでどろどろにされる。今まで何着のセーラー服やその他衣装たちがが消費されたのだろうか。
画像:日本テレビ
学校でのいじめを表現する、典型的なシーン。
制服ブレザーにペンキで「ブス」と書かれる。それを水道で洗い流そうと、もみ洗いするも無駄な努力。
その後、学校中の生徒たちがブレザーにペインティングするようになる。何十着ものブレザーが台無しにされてしまった。
画像:日本テレビ『野ブタ。をプロデュース』
〇〇レンジャーというタイトルが付いた特撮シリーズでは、メンバーに1ないし2名の女性がいる。彼女らの衣装はボディコンシャスで超ミニスカート、生地質はつやのある光沢生地というのが定番だ。激しい戦闘シーンでは、脚が大きく開かれたときに、裾の生地も引っ張られたりしている。
『魔法戦隊マジレンジャー』では、戦士たちにマントが付いていた。ヒーローやヒロインのマントが激しく翻るたびに、幼い私は胸を痛めながら注目していたものだ。特に女性のマジピンク(笑)。飛んだり跳ねたり、時には地面に倒れたり踏まれたり、マントは何の罪もないのに可哀想だなぁと思いながら。
もちろん、悪役の怪人たちも、つやつやサテン光沢が眩しいほどのマントを付けているときがある。それなのに、ヒーローたちに殴られたり蹴られたり、そして地面を転がったりする。「マントはさぞや辛いだろうな」なんてことを思いながら観ている子供がいることを、大人たちは知っていただろうか?
マントに限ったことではない。子供向けのアクションものでは、つるつるした感じの光沢衣装が様々な形で登場する。そうした生地の衣装を身に纏った者たちが、派手なアクションを展開する。少し擦っただけでも、再起不能な傷がついてしまいそうな繊細な衣装たちなのに、爆破シーンで駆け抜けたり、地面に倒れこんで泥だらけになったり、きれいな衣装のことなどお構いなしだ。こんな衣装に対しても、子供だった私は胸が張り裂けそうになりながら、「かわいそうに!」と心の中で叫んでいた。
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のメレの衣装は、チャイナドレス風で、ところどころに金属環が嵌められている。本物のチャイナドレスを加工したものかどうかは定かではない。この衣装を着たメレが屋内外で戦うので、衣装は散々な目に遭わされる。撮影とはいえ、生地は相当傷むであろう。
メレの衣装を模したコスプレ衣装もマニアの間で作られているようだが、こちらは手っ取り早く市販のチャイナドレスに穴を開けたりして作られるだろう。緑色のチャイナドレスは災難だ。
画像:テレビ朝日『獣拳戦隊ゲキレンジャー』
少し古いが、『機動刑事ジバン』のマーシャとカーシャは、白いマント付きの衣装で登場していた。ウエディングドレスを思わせるような真っ白のつるつるサテン生地でできている。ふたりが激しく戦うときは、か弱そうな生地の衣装も過酷に揺らされる。
特撮ヒーローものでは、悪役でもこうした衣装を着て出てくることがあるので、目が離せない。
画像:テレビ朝日『機動刑事ジバン』
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最終更新日:2024年11月16日
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