女性衣類に関する違法行為の代表例は盗難であろう。その筆頭格は下着類だ。
しかし私はなぜか、女性の下着にはほとんど反応しないので割愛する。
次に思いつくのは、学校の制服や体操服である。人気のお笑い芸人が学校に忍び込んで、生徒たちの制服一式を盗み出したニュースは記憶に新しいが、このような事件は古くから存在している。犯人が捕まるたびに、所轄警察署の会議室や道場などに盗まれた制服一式がずらりと並べられる様子を観て、私はいつも暗い気持ちになる。
毎日登校時に、女子高生に着用されていた制服は、体育や部活動の時間に更衣室や部室で脱ぎ置かれる。いつもなら。やがて所有者が戻ってきて着替えてもらえるのだが、ある日突然見知らぬ男が侵入してきて、制服は略取されてしまうのだ。
男が持参したバッグに、乱暴に押し込まれたときの恐怖といったら無かっただろう。いったい何事かと考えているうちにバッグが開けられ、男の顔が見える。引きずり出された場所はどうやら男の自宅らしい。そのような男は、何度も同じような犯罪を繰り返していて、部屋の壁には他校のセーラー服がいくつか吊るしてあったり、寝床には体操服が転がっていたりする。
新たに連れて来られた制服は身震いした。尋常な事態ではないことがなんとなく分かった。もう○○ちゃん(所有者)には会えないのか。
男が顔をうずめて匂いを嗅いでくる。変態行為の始まりだ。
犯人が捕まり、部屋に監禁されていた制服や体操服たちは解放されるときが来た。しかし、一同はずらりと床に並べられ、さらに恥ずかしい思いをしなけなければならないのだ。テレビで報道されると、変態男の性欲解消の道具として大衆に晒されるわけで、さぞやいやらしいことをされたのではないか、もしかして、着用されたり、体液で汚されたかもしれない。よからぬ想像を書き立てるだけの映像が流れる。制服たちにとって惨めな瞬間だ。
それだけでは終わらない。
取調べや裁判のときに証拠品として扱われる。
指紋の検査や体液の採取など、官憲による辱めも受けなければならない。俗に言う、二重の強姦被害のようだ。
さて、めでたく元の持ち主に返されることになったとしても、手放しで喜ばれることはない。
制服を盗まれた生徒たちは、別に着るものを早急に手配しなければならない。自宅に予備がある場合はそれで賄われるが、そうでないと、学校保管の予備か、先輩のお下がりなどが手当てされるだろう。新しいものでなくとも、それらは「無垢な」制服だ。
しかし、変態男に盗まれて戻ってくる制服はどうか。何をされたか分からず、動機が動機だけにとにかく気持ち悪さが先に立つ。そんな制服の引き取りは拒否しますと、警察署からの電話にノーと言う被害者は多いようだ。可哀想に何の罪も無い制服たちは、卒業を待たずに処分されることになる。元の所有者にひと目会いたいと願う制服たちの希望は叶えられない。
私が高校生だったころ、クラスの女子の制服が無くなったことがある。彼女は突然行方不明になった制服の損失を嘆く以上に、恐怖でいっぱいの様子だった。その後、制服は戻ってきた気配はなく、彼女に対してもそれ以上のことは何事も起こらなかった。
犯人の罪は重い。被害者に経済的損害を与え、心の傷を負わせ、さらに制服の命をも奪ってしまう。女性衣類を盗むことは、目的がどうあれ絶対に許されるべきではない。
画像:日本テレビ
女性のスカートのなかをカメラで盗撮する行為は、スカートを馬鹿にし、蔑ろにしているという点でも憎むべき犯罪だ。別項で解説しているとおり、スカートは女性にふつうに着用されているときでさえ、大変な苦労と苦痛を感じているのだ。そんなスカートを追い回して恐怖を与え、下にカメラを突っ込んで恥ずかしい思いをさせるなんて、言語道断である。
ふだん着用主か、恋人ぐらいにしか見せることのない裏地も思い切り晒されて、スカートは消え入りたいほど恥辱を感じているのである。変態野郎たちはそんな気持ちが分からないのか。
トイレや更衣室の盗撮も同様である。
衣類たちも観られたくない部位や瞬間がある。それを性的欲求の解消のためにカメラに収めて愉しもうというのだから、残酷極まりない話である。
痴漢にも様々な形態があるようだ。単純にお触りされたり、手を突っ込まれたり、男性器を押し付けられたり、体液を掛けられたり。いずれの場合も、被害者の女性と同様、着用されている衣類もたいへんな恐怖と恥辱を味わう。それを思うだけで、痴漢がいかに酷い犯罪であるか分かるはずだ。
体液などで着衣が汚された場合はもちろんだが、単に触られたというだけでも、捜査の段階で証拠品として着衣の提出を求められることがある。布地からも指紋を検出できる場合があるという。そうなると、スカートなどの衣類はまた恥ずかしい思いをしなければならない。
体液が付けられている場合は当然検査に回されて証拠品扱いとなるが、着用者の手元に戻ってきたときにどのように扱われるか、運命が分かれるところだ。
痴漢行為に一種とされるが、路上や乗り物内で女性が着ている衣類に体液や汚物を掛けたり、衣類を切り裂いたりする行為を行う者がいる。その動機や理由は様々なのだろうが、どのようなものであれ、衣類は一瞬にして再起不能となり、おぞましい記憶とともに葬り去られる運命にある。
被害に遭った衣類たちが、マスコミを通じて無残な姿をさらされるのも哀れでたまらない。
画像:Livedoor.jp(JNN)
2019年の成人式で、振袖にソースを掛けて汚損したとして23歳の男が逮捕されている。「自分の将来に対して不安があり、晴れ着を狙うことで気持ちが晴れるかと思った」という。1件では晴れず、繰り返したらしい。所持品からは小袋入りのソースが複数見つかったというから、1回のソースの量は多くないと思われるが、か弱い生地の振袖に僅かでも掛けられると台無しである。
被害に遭った女性のひとりは、成人式に出席するために着付けた直後だった。母親が気付いて、別の振袖に着替えて出席した人もいる。
ほとんどの振袖は、この日がデビューだったはずだ。それがいきなり汚されてしまうなんて、人間不信に陥り、処分されなかったとしてもトラウマになるだろう。
説明するのもおぞましい犯罪行為である。
着衣は土や泥にまみれ、躊躇いも無く引き裂かれたりする。万一、無事であったとしても、PTSDやトラウマをいくらかでも和らげるために、当日着ていた衣類は目の届かないところへ処分されてしまうだろう。被害女性ともども、衣類もほんとうに可哀想である。
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最終更新日:2024年11月16日
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