園児は成長も早く、両親も若いので転勤などで転居する機会も多いので、幼稚園の制服は譲渡会などで融通しあうことも頻繁に行われる。
かくして、姉から妹へ、そしてお友達へと代々受け継がれていく。制服裏側の記名タグには3~4名の名前が書いては消し書いては消しされていることも珍しくない。幼稚園の制服で延べ10年以上使われているものも普通に見られる。
譲渡会に持ち寄られた制服たちは、これからどのような扱いを受けるのか、みな不安そうである。着用期間がわずか数ヶ月のもの、すでに何年も使い古されたものなど様々だ。とりあえずはクリーニングしてもらえるが、また次の園児に雑に着られて汚されていく運命だ。
他の園から転入してきた園児の家族からは、前に使っていた幼稚園の制服が供出されることがある。が、この地方では何の役にも立たない。どうして、引越しする前に貰い手を探さなかったのか? 引越しでバタバタしていて忘れていたという理由で、よそ者の制服はゴミ同然の扱いとなる。
「クマさんのぬいぐるみに着せようかしら」と言ったお母さんが引き取っていったが、そうなると、近い将来に廃棄処分となることは間違いない。
卒業生の制服を回収している学校がある。また、父母会や同窓会、または公的機関や業者などが率先して中古制服のリユースを進めているところも多い。そうして集められた様々な制服アイテムは、新入生や在校生に無償または安価で譲られる。
回収される制服はクリーニングまたは洗濯済みの清潔なものである必要がある。また、目立ったシミが残っているものや激しい擦り切れなどの傷みがあるものはダメで、さらに「卒業後5年以内のもの」など期限付きの場合もあるから、じゅうぶん使えそうな制服でも油断はできない。
これらのシステムでは、学校関係者以外の手に渡らないように管理しているので、ほぼ必ず学校制服としてまともに再利用してもらえる。
ただし、たまに学校の文化祭バザーなどに出されているのを見ることがあるが、あれは注意が必要だ。販売者側は購入者の善行に期待するばかりで、まさか生徒の着用目的以外で買う人がいるとは想像もしていない。
画像:福山市中古学生服Shop「さくらや」
画像:鎌倉市立大船中学校Twitter
平成29年度9月16日、文化祭にて中古制服販売実施。
学校制服は卒業して不要品となっても、新入生などの後輩に再び着てもらえるチャンスがある。しかし、その学校の制服がモデルチェンジしてしまったら、もう行き場がなくなる。この件に関して、学校制服をリユースしている中古学生服の店のブログに「モデルチェンジ校の制服について」と題した投稿があったので、引用させていただく。
引用:学生服リユースecoco(ブログ2019/01/10)改行等一部変更。
===<以下引用>===
こんにちはecocoです。
年末に戸畑高校の旧モデルの制服や霧丘中学校や中原中学校の体操服等モデルチェンジが絡む学校のアイテムを200着超処分しました。
せっかくお持ち込みいただいた「お母さんの優しさ」を処分するには抵抗があり毎年頭を悩ませるのですが、その学校に通う子供達さえ着れなくなってしまった物をどのように活用できるのか分からず泣く泣く処分しました。
実はこのモデルチェンジというシステムは意外と多く、高校は毎年数校あります。
一見変わってないように見えても、生地だけでも変われば実際着ている子供達には全然別物です。
中学でさえ体操服は数年毎マイナーチェンジがあります。
そこが婦人服や紳士服とは違うとこ。
キレイなのに、もう誰も着られなくなるのです。
先日他県で新規開店されるNPOの代表の方とお話ししたのですが、そちらはモデルチェンジしたお品を海外外に送る予定にしているそうです。
日本のサブカルチャーは海外でも受け入れられ、コスプレなどに活用できると仰っていました。
だけど、、、
私にはやっぱり抵抗があるのです。
お母さんからお母さんへの気持ちをつなぎたい思いで始めたecocoです。
他の用途で使われるのは何となく嫌です。
なので、せっかくお持ち込みいただいた制服ですが、その学校で着られなくなったら処分させていただきます。
経営的にもかなりの痛手ですが、それも踏まえての買取金額の設定となっておりますのでご理解ください。
2019年入学も、常盤高校や豊国高校のモデルチェンジが決定しています。
こちらは旧モデルを着ている学年が卒業するまでは在庫を確保していますので、ズボンが破れた、サイズがあわなくなった等ございましたらお問合せください。
ちなみにモデルチェンジが絡んだ学校の制服は、
旧モデルになった時点で¥500・¥1000の破格値にお値下げしています。
修学旅行用や洗い替え用にぜひお求めください。
ピカピカのブレザーも新品のシャツも¥1000です♪
===<引用以上>===
ecocoは九州の店舗なので、文中の学校はそれぞれ福岡県立戸畑高校、北九州市立霧丘中学校と同市立中原中学校である。戸畑高校の制服については当サイト別ページでも取り上げているが、今まで夏冬ともにノープリーツのジャンスカ制服だったものが、夏のジャンスカが変更されたので、この店舗に在庫されていたジャンスカたちが大量に処分されたのであろう。同様に中学校の制服も、本文にあるように、まだキレイで十分着られるのに捨てられてしまった。
気になるのは、他のNPOで海外に送られる例があるということだ。コスプレ需要ということは、セーラー服が中心だろうか。動画サイトなどでも日本のセーラー服人気はうかがえる。この場合、女の子が楽しそうにセーラー服を身に纏っているので、微笑ましいと言えばそうなのだが、やはり日本国内より扱いや保管方法は雑になるような気がしてならない。
他の用途で使われると言えば、すぐにフェチルートのことが頭に浮かぶ。こちらに流せばあるていど高値で売れ、経営の助けになると思うが、そのような道を選ばないのは評価できる。フェチに性的虐待を受けさせないためには、ゴミとして処分するしかないというのがつらいところである。
レストラン制服やナース服、事務服など従業員に貸与された制服は、退職時に返却された後、別の従業員に使いまわされることも多い。
経費削減の折から、女子制服の新調はイノベーションの過程においても後回しにされることが多く、代々何人もの女性に受け継がれ、長年使用される制服も少なくないだろう。
某航空会社においても、以前は必ず新品の制服を支給したのだが、昨今はまだ使えそうな退職者の制服が再利用されていると聞く。
一般事務系企業や金融関係などに多いように思うが、モデルチェンジなどで旧制服が大量に不要となった際に、海外難民支援と称して回収して送り出すことがある。
先日まで空調完備の綺麗なオフィスで使われていた制服が、気候も文化も匂いも異なる苛酷な環境の中に送り出されるのだ。
・身近な例(毛染めケープ、ゼッケン、裂き織り、手芸、リメイク、ウエス)
リサイクルショップは衣類にとってゴミ捨て場と同じような場だ。リユース目的で販売されている店なので、そこに捨てたわけではないと思うかもしれないが、元の持ち主にとって不要品になったものを手放したわけで、いくらかでもお金にならないかという根性で持ち込んだに過ぎない。衣類にとっては墓場も同じなのだ。いや、墓場のほうがまだマシだったかもしれぬ。
リサイクルショップで次の女性に購入されて、働かされる。下手をすれば無間地獄の中に落ちることになる。
一般的な大手リサイクルショップでは、店頭で買い取られた衣類は主に4種類に分類される。
1)その季節にすぐに店頭で販売する衣類
前後、表裏などをさっと目視で点検された衣類は、すぐに販売できると判断されれば、値札を付けられて、すぐに店頭に出される。店頭に吊るされた衣類たちは、元の持ち主に捨てられたと嘆いている。
でも、苛酷な着用環境から離れて、ほっと一息つける唯一の時間かもしれない。次にどのような女性に買われるかによって運命も大きく変わる。
2)季節はずれのため一時保管する衣類
シーズンオフの衣類はショップの倉庫に保管される。たいていはそれなりに丁寧に畳まれて積み上げられて陽の目を見るのをじっと待つ。
店頭に並ばされても売れ残ってしまったら、二束三文で投売りされるか、海外へ送り出されることになる。投売りされたら、生地取りなどの用途で買われていくことも多く、まともな扱いは受けないだろう。
3)海外市場でリユースされる衣類
買取された衣類で売れ残ったもの、そして、ダイレクトに海外往きを告げられるものがいる。
海外に送り出されると、日本よりさらに酷い着方をされることは目に見えている。さらに、埃っぽかったり、生活習慣が異なっていたりと、衣類の気苦労は多い。
4)ウエス加工、反毛加工等によリサイクルに回される衣類
ここに分類されたものは問答無用で潰される。機械できつくバンドルされる様子は苦しそうで哀れそのもの。その状態で海外リサイクル工場への長旅に付く。
ウエスにされるものは、人の手でカッターで切られていく。
不織布にされるものは、生地用のシュレッダーで切り刻まれ、鉄のツメで引っ掛かれて粉砕されていく。
ショップのバックヤードで、若い女性店員が土足で衣類たちを袋に押し込んでいたのを観たことがある。できるだけ多くの衣類を詰め込むために、脚で踏み固めるのだ。袋に放り込まれたブラウスやコートが袖を端に引っ掛けている様子は、助けを求めているようで胸が痛んだ。
リサイクルショップの経営形態は様々で、衣類専門店もあれば、衣類は片手間に扱っているリサイクル店もある。
衣類にあまり興味のなさそうな、あるリサイクル店で見た光景だが、数段の棚に分類されていない衣類が適当に押し込んであり、なかには白いウエディングドレスもある。横には申し訳ていどのハンガーラックに数着が吊るされていた。さらには客が落としたと思われるブラウスやワンピースが数点床に散乱し、それには誰かに踏まれた足跡がついていた。まったくゴミより酷い扱いである。
このような店では、和服も例外なく酷い扱いを受ける。汚らしいトルソー(展示用人型)に雑に着せ付けられた着物はまだマシで、元は高級そうだった正絹のつるつる和服も、段ボール箱のなかに丸めて放り込まれていたりする。丁寧に畳紙に包まれてきちんとタンスに仕舞われていたのはいつの日か。
和服をわずかに扱っているリサイクル店で、家具の売り場を見ると、綺麗な和装の袋帯を敷いて、その上に重そうな置物が置いてあったりする。下敷きにされた袋帯はとても苦しそうだ。
正絹の振袖にも容赦が無い。ちぎられた袖だけがタピストリー代わりに飾られていたりして、ドキリとさせられる。その飾り方が無造作で下手くそで、振袖の哀れさがいっそう掻き立てられるのだった。
古着を扱うリサイクルショップは、衣類に対して情け容赦が無い。
捨て値同然で買い取っている衣類なので、扱いも雑だ。
商品として売れないと判断したのか、あるいは、その役目にうってつけだと思ったのか、買い取った古着をディスプレイ用に加工する例がある。
店頭に立てた大きなベニヤ板に、明るい色の女児ワンピースやブラウスがいくつか貼り付けにされていて、1着に一文字、ペンキで店名が書かれているのがあった。近くに寄ると、陽の光や風雨に晒されたためか、少し黒ずんだり、褪色したりして痛々しい。大型のホチキス針であちこち留められているのも残酷に思えた。
ホチキスというと、リサイクルショップでは店内のデコレーションにも衣類をホチキス留めしている例がよく見られる。これでもかというほど多数のホチキスで壁のボードに留められたワンピースなどは、痛々しくて見ていられなかった。
和服コーナーでは、浴衣がホチキス留めされていたし、店内の棚には、アジの開きのように切り開かれたチャイナドレスや、一枚の布地にされて広げられた学校制服スカートが当たり前のように展示台に貼り付けにされているものを見たことがある。
衝撃的だったのは、和服の黒留袖(結婚式の参列者などが着る第一礼装)が腰の辺りで横にまっすぐ切り裂かれ、それが展示台の下敷きにされていたことだ。黒留袖の下半身の柄のあるほうの生地が高さ10cmほどの台の上に敷かれ、さらにその上にトルソーが乗せられていた。
結婚式でそれなりの存在感を示していたであろう立派な黒留袖が、一枚の布切れとして扱われていて愕然とした。しかも思いトルソーの下敷きで、ほとんど床に近い位置なので、埃まみれになっている。ほんとうに情けない、哀れな姿だった。
黒留袖は、襟か胴裏にシミでも有ったのだろうか。それでもうまともには売れないと判断した店員は、迷うことなく切ったのであろうか。シミがついていたにせよ、それは黒留袖のせいではない。何も悪いことをしていない黒留袖は、人間の都合で敷物にされてしまったのだ。
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最終更新日:2024年11月16日
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