スカート


私は、スカートの揺れるシルエットがとても好きだ。膝丈か、それよりやや長めのフレア、あるいはプリーツスカートが、女性の歩みに合わせて前後左右に揺れる姿に見惚れる。

一歩前に進むと、少し遅れてスカートの後ろ裾が前に揺れ、反動で後ろに下がる。左右の揺れは、右足を踏みだしたら一瞬遅れて右に揺れ、左足を踏みだしたら同じく遅れて左に揺れ、それが繰り返される。そして、くるっと方向転換すると、裾はふわっと膨れて捩れ、ストンと落ちるのだ。

それらの動きはすべて着用している女性の動きによるもので、スカートの意志は一寸も反映されることはない。

脱ぐときは、ウエストのホックを外され、ジッパーを下げられたら、どさっと床に落とされる。このとき踏まれることもある。脇へ寄せるために蹴られることもある。ジャケットやコートとは異なり、いちいちきちんとハンガーに掛けられることは稀である。


スカートの丈と形状バリエーション

対象:スカート各種、ペチコート、パニエ

丈による違い(ロング、ミディ、膝丈、ミニ)

形状による違い(タイト、フレア、プリーツ)

スカートは、衣類の中でも最も過酷な環境の中で使われるもののひとつである。

その状況は、丈による違い、および形状による違いによってさまざまである。



制服スカートの丈の違いによる印象の差

画像:カタログ通販CECILEオンラインショップ

少し不良っぽい女性生徒が、スカート丈を短くし始めたのはいつ頃からであろうか。

バブル崩壊以前では、スカート丈をやたらと長くしているのはちょっとヤバイ生徒で、近づかないようにしていたのだが、昨今では異常なほどのミニ丈スカートを穿いている女子生徒を見ると怖くて近づけない。ファッションの変遷というのはおもしろい。

まぁ、画像を見る限りは、スカート丈42cmぐらいならば許容範囲か(画像のモデルは身長165cm)。



スカートが可哀想な理由

1)揺らされる

立っているだけでぶら下がっている生地がゆらゆら揺れる。

歩くと、前膝で蹴られ、後ろの裾は前後左右に揺れる。

飛び跳ねると裾がビンビン跳ね上がる。

2)振り回される

くるっと回ると大きく広げられる。

身体を反転させるだけでも広がり、停止したときにまとわり付く。

遠心力は想像以上の力が働くものだ。

3)尻に敷かれる

きちんと尻に敷いているようにも見えるが、プリーツスカートのプリーツはどうしても潰されてしまう。

また、座っている間も、人間は前後左右にかなり身体を動かしているもので、そのため椅子との摩擦により生地も摩耗し、シワも増えるのだ。

また、女性たちは椅子に座ってからも生地を引っ張り出したりして、スカートを触っている。表地が整えられても、裏地がどうなっているかは分からない。



3)-2 座りジワ

腰の掛け方は個人の性格や癖によるところが大きいが、スカートの丈や形状、材質によっても差が出る。本人がシワになるのも気にしない、あるいは尻の下に生地が溜まるのも気にしないとなると、着用されているスカートは悲惨である。

テーブルに寄りかかって、裏地の裾もはみ出している。




4)捲りあげられる

意図しないで捲れあがる場合もあれば、わざと捲りあげられる場合がある。

スカートを意識して、両裾をつまんで広げられることも。

5)静電気でまとわりつく

静電気の発生により、着用時に足にまとわり付く。

6)地面につく

ロング丈の場合、普通に歩いているだけで、裾が地面について擦る。

また、そうでなくとも、しゃがんだときに裾が床についてしまう。

椅子に座っているときも、丈が長いものは床に付いていることがある。

室内であっても、床はかなり汚く、汚れもつきやすい。特に静電気が溜まっていると埃を中心に汚れが吸着し取れにくい。

7)歩くとき後足に蹴られたり、泥はねが付く

ロング丈の場合は特に後ろ足(かかと)で裾を蹴る上げることがあり、同時に泥跳ねなどが付きやすい。


ブラック OLタイトスカート

使い込まれたOLの事務服スカート。勤務年数によっては、5年も10年も使い込まれることがあり、表地のテカリも半端なく強いものとなる。テカリは生地の摩耗なので、人間でいれば肌が擦られてヒリヒリしている状態だ。

あるていどケアしていれば軽減させることもできるはずだが、ふつうはクリーニングするぐらいのメンテしかされない。



奈良県立添上高校 制服 夏スカート

学校制服は基本的に3年間を使用の1サイクルとされるが、その間、夏服の出番は年に数ヶ月である。しかしながら、生徒たちの適当な着用と取り扱いにより、卒業を迎える頃には前も後ろもテカテカにされてしまう。学校の椅子が板張り仕様になっていることも、テカリを生み出す原因となっている。ザブトンを敷いていないとスカートはかなり摩耗してしまう。

 

また学校制服の被害として、生徒による着崩しや改造がある。少しでも丈を短く見せようと、ウエスト部分を何度も折りこまれたり、あるいは裾を切ってしまったりされる。



大阪・私立淀之水高校

学校制服のスカートに裏地が付いている例はかなり少ないが、制服は着用頻度が多い衣類なので、その裏地のダメージも計り知れないほど大きい。丁寧に扱わないということもあるが、か弱い裏地の生地はひとたまりもなくシワシワでボロボロにされる。

また、引っ張りのテンションにより、裏地の縫い目は裂けるようにほころぶことも多い。

冬スカート
冬スカート
夏スカート
夏スカート


ラップ(巻き)スカート

展開すると一枚の布状になる。通常の着脱にはここまで広げたりはしないであろう。面白半分でラップスカートを広げたりしてはいけない。裏地を思いきりさらされる辱めを与えているのと同じだから。



タイトスカート

早足で歩くと、腿の広がりにより生地が引っ張られたりする。裾にスリットやベントがあると、その付け根は引っ張りのテンションにより解れたり裂けたりする。

裏地も腿に擦れやすいし、座る機会が多いと、座りジワがひどい。



2段フレアミニスカート

2段のうち下の生地に裏地が付けられているデザイン。

さらっとした生地だと、シワになることを恐れずに適当に座る。



捲れたままのスカート

トイレから出てきてそのままになっているのか、誰か注意してくれないと裾が捲れたままで惨めな姿をさらすことになる。本人は恥ずかしいだろうが、スカートも相当恥ずかしい思いをしている。



2種類の生地を使ったスカート

2種類の生地がつなぎ合わされたり、覆い被せられたりして仕立てられた贅沢な造りのスカート。

おろそかにしてはいけない。