コスプレ衣装

コスプレ衣装という言葉が示す範囲は広い。一般的にはドラマや映画、アニメ、ゲーム、アイドルグループなどに登場するキャラクター衣装を模したものを指すが、女子校やキャビンアテンダント、女性警察官など本物として実在する制服をコピーした衣装も含まれる。後者はレプリカ品と称されることもある。レプリカ品の中にはセーラー服など、本物を入手しようと思えば可能なものもあり、そのレプリカは本物より生地も安っぽいものが多くある。

また、メイド服などイメージ先行型の衣装もある。

コスプレ衣装は女性に着用されるものでも披露される場が限定されていることが多く、フェスティバルの会場やパーティなど自慢げに着用される。また、インターネットの動画サイトなどでも公開され、女性たちがみな嬉しそうで、衣装も喜んでいるように見える。

一方で、宴会の余興やイベントで着用される衣装たちは、オモチャにされているように見えて悲しいときがある。イベントと言えばハロウィンのゾンビ衣装などは汚損破損されまくりで痛々しい。

私が若かりしころ、イベントごとの余興で男女がセーラー服を着たり、チャイナドレスを着たりしていたことがあった。セーラー服は女性たちの出身校の制服だったり娘さんの制服だったりして本物だったが、その悲惨な扱いは今もトラウマになっているほどである。さかのぼること学生時代の学園祭でも、女子の出身校の制服が男子に貸し出されたりして、サイズが合わず、はちきれそうになっている制服が可哀想で堪らなかった。少し脱線したが、コスプレ衣装もこのような用途に使われなければよいなと願う。


アニメ/ゲームキャラクター

子供のころTVのアクションヒーローに憧れて、背中に風呂敷を付けてマントの代わりにして遊んでいたが、これなどコスプレの一種になるのだろうか。昨今は海外でも日本のアニメやゲームが大人気で、そのキャラクター衣装を3Dの衣類として忠実に再現したものが着用されている。専門メーカー製のものもあるが、この種のコスプレ衣装の品質は市販品でさえピンキリだ。器用な人は手作りし、その出来栄えが競われたりもする。

空想の世界から生まれた衣装ということで軽く見る向きもあるようだが、衣類として観察するとしっかり作られたものも少なくない。特に女性が丹念に縫い上げたようなものは魂が籠っていて、それを着て嬉々としている姿をネットで見かけると微笑ましい。

いただいたご投稿に「もしかしたらコス衣装は『安っぽい』『たかが漫画』と思われそうですが、実はコス衣装はデザインも大変かわいいうえに、滑らかで艶やかなサテン生地をふんだんに使用していて、これが大変に刺さります。SNS上ではそんな光沢のある衣装がひらひらふわふわと煌めく写真もたくさん見ることができますね。(2024/02/14しるく様)」と書かれているものがあったが、たしかにサテン生地がたっぷり使われた衣装も多いのが特徴である。アニメだと、生地質まで窺い知ることができないことが多いのだが、なぜか光沢感の強い生地が使われる。コスプレ衣装を求める女性たちもサテン生地に特別な感情があるとしか思えない。

残念なのは、外見はとても上質でリアルでも、裏地が軽視されがちなことだ。ときにペラペラのしょぼい生地だったり、ハンドメイドのものは縫製技術の未熟さゆえか裏地が無かったりする。裏地好きとしては、裏地こそ最も力を入れてほしい部分ではある。


白雪姫

アニメに登場する衣装を模して作られたドレス。

写真ではマントが欠落している。アニメでは光沢生地のドレスには見えなかったが、なぜかサテン生地だ。

この手の衣装は子供向けのものが多いが、大人向けサイズもあり、余興などに使うことがある。いずれにせよ一時的な使用にとどまり、短時間弄ばれて、以後放置、やがてゴミ袋に押し込まれる。

画像:ヤフオク kariporiman



レプリカ

実在する有名校や職業などの制服を模して作ったもの。

本物とされる制服が非常に高値で取引されていたり、中古でも入手するのが困難だったりするとき、それらを模して製作されたレプリカが流通する。多くは本物の十分の一ていどの値付けがされる。

クオリティはピンきりで、生地質や縫製など本物にきわめて近い形に仕上げられているものもあるが、生地質や刺繍の違い、裏地の有無など、細部で本物と相違している箇所があるなど、執着のあるマニアをがっかりさせることがある。いずれにせよ、本物ではないので、存在は軽視されがちである。


アイドルグループ

女性が自ら着用するために購入する確率が比較的高いと思われる衣装である。アイドルグループの衣装はデザイナーの権利があるので、レプリカとして販売するときは「〇〇風」と微妙なタイトルがつけられていたりする。

通販でオーダー指定して購入できるが、女性ではあまり考えられない大きいサイズが設定されているのを見ると、男性着用が想定されているのだと実感してちょっと切なくなる。

過去から現在まで、セーラー服を衣装にする歌手グループがときどき登場するが、できるだけ本物を使うか、あるいは本物と見分けがつかないぐらいのデザインのものが個人的には好ましい(笑)。

↓乃木坂風

画像:PWPCOS

↓新しい学校のリーダーズ風

画像:Giftmall



学校制服

実在する学校の制服が中古で売られているのを見かけるが、人気があるものは非常に高価である。そこに目を付けたのがコスプレ業者だ。レプリカとしてコピーされる学校はほぼ決まっているが、業者によってクオリティにかなり差があるようだ。

商品写真ではかなりリアルに再現されているように見えても、実物を見てがっかりした方もいらっしゃるだろう。海外の工場で縫製され、はるばる海を越えてやってきた制服(レプリカ)に何の罪もないが、ガッカリを通り越して怒りに任せてズタズタに引き裂いたという例を聞いたことがある。

ネトオクやフリマで個人間でレプリカ品が取引されるときは要注意で、出品者自身がレプリカと知らずに出品するケースもあり、トラブルになりやすい。レプリカ品はリセールバリューもほぼゼロなので、消耗品と割り切って買うならよいが、消耗品扱いされる衣類の側は堪ったものではない。ということで、個人的にはこの手のレプリカはあまり好きではない。

ただ、中古より新品が良い、また、自分に合ったサイズが欲しいという方にとっては選択肢の一つとなるだろう。信頼のおける業者を探すことを忘れずに。

画像:m.i.a costume



イメージ

職業としては実在するが、本物をコピーしたものではなく、イメージを形にしたものもコスプレ衣装として見られる。たとえば、メイド服や尼僧、ナース、キャビンアテンダント、女性警察官、巫女、ロリータ・ゴスロリ服、ウエディングドレスなどだ。。メイド服などはそれ自体独立した衣類なので、コスプレ衣装と一言で片づけてしまうのは可哀想に思える。

さらに興味深いのは、ナースやキャビンアテンダントなどの市販コスプレ衣装にサテン生地で作られたものが散見されることだ。やはりサテン生地は人を引き付ける何かがあるのだろう。

また、ナース服をわざわざ血糊で汚し、裾をジグザグに切ったハロウィン用のコスプレ衣装も売られている。コスプレ衣装もさまざまな使用形態があるものだ。

画像:MINANA