For EXAMPLE

「無関心」から「可哀想」へ

少しずつでも感じていただけるように、日常の中から可哀想な衣類たちを探してみましょう。


*Step 0 ~Introductory course~

物にも魂があることを知る

無生物と思われている物にも魂が宿り、感情も存在している。それに対して人間が一方的に何をしても許されるのだろうか。衣類についての考察を始める前に、まずは、物に魂があることを知ってみる。


グランドピアノがいかに丈夫にできているか、人力による破壊実験を行う番組があった。

使い古されているけれど、修理すればまだじゅうぶんに使えそうなピアノだ。それを数名で、ハンマーなどの工具を使って、寄ってたかって打ち壊していく。

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どこかの学校かホールで、みなの注目を浴びながら輝いた時期もあったであろうピアノ。

色んな人たちが弾いて、感動を与え、様々なストーリーを生み出したはず。

それが面白半分、興味半分で意味もなく破壊されていく。


木が割れる音。金属がきしむ音。弦が鳴く音。膝をがっくり折るように脚が倒れ、地面に突っ伏して、惨めな姿をさらすピアノ。やめてください~。許しを請う声が聞こえるだろうか。ピアノには何の罪もない。そんなピアノを見て、あなたはどう思うだろうか?

物品に対する破壊行為というのは極端な例だ。まだ使えそうなものを、人間の身勝手な発想により処分するのは、日常ではそう珍しいことではない。少なくとも、物にも正当な方法で優しく使われる権利があることを知ってもらいたい。



*Step 1 ~Elementary Course~

無関心・無頓着をやめて、存在を意識する

次に、衣類や布製品について考えてみよう。

衣類(布製品含む、以下同)は私たちの身の回りにあふれていて、空気のような存在になっている。

まず、そこに衣類があることを意識してみよう。

そして、いま衣類がどのような状態にあるのかを観察してみよう。


スカートを穿いた女性が、スマホに夢中になりながら、椅子に腰を下ろした。

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画像:新時代の女性の生き方革命ラボ

https://ameblo.jp/passeggiare/entry-11837205478.html

ひとつひとつシャープな折り目がきちんと付けられたプリーツスカートは、女性が歩くたびに広がったり閉じたりして、とても優雅な印象を与えてくれる。

写真の女性が穿くブラウンのプリーツスカートは、歩いているときは揺れるシルエットがとても素敵だ。

しかし、いまの彼女はスマホにしか関心が無い。優雅なスカートもお構いなしに、ドシャッと椅子に腰を掛けてしまった。スカートの生地はお尻の下に敷かれて、くしゃくしゃになっているはず。

外からは見えないけれど、つやつや裏地もシワシワになっているだろう。

私が学校生徒だったころ、クラスの女子たちの座り方を常に気にかけていた。女子によって座り方は千差万別で、制服のプリーツスカートがさまざまな形で尻に敷かれていた。プリーツが潰れないように、丁寧に撫で付けるように腰掛けていた子には、ことさら優しさを感じた。

一方で、スカートをはいていることすら忘れているかのように勢い良く座る子には腹立たしささえ覚えたものだ。



林の中を散策していた女性は、林の中で何かを見つけて突然しゃがみこんだ。

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画像:A Dedicated Follower of Fashion

http://mandierw.blogspot.com/2016/04/pre-raphaelite-dress.html

歩いている間もブルーのロングドレスの裾はたびたび地面に引きずられていた。ロングドレスを着ていることなんて気にも掛けない様子だ。

そして、しゃがみこむときもドレスのことを気にしなかったので、スカートの部分は地面にべったりと付いてしまっている。

裏側は土や落ち葉で汚れているに違いない。そもそも汚れなんて気にならないのか、それともすぐに落ちると思っているのか。しょせんドレス、物に過ぎないと。

 

卑近な例でいうと、中高生などはスカートを気にせず床にしゃがんだり、べったり座ったりしている。教室内であっても結構汚れているものだが、そんなことは誰も気にしない。つまりは着用されている制服は、かなり汚いのものなのだ。



一輪車競技で華麗な姿を披露する女性たち。飛んだり跳ねたり、勢いよく回転したりする演技は見事なものだ。

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画像:タウンニュース

https://www.townnews.co.jp/

光沢のあるドレスが振り回されたり、蹴り上げられたり、鷲づかみにされたり、ときにはサドルに引っ掛かったりしている。

汗もほとばしり、ドレスに染み込んでいく。スポーツ競技に着用される衣装は苛酷な環境に耐えなければならない。

スポーツで着用される衣類は、機能性や美しさが重視される。スポーツの一部として使われるという点で、用具と同じだ。無くてはならないので、そこそこメンテされるだろうが、結局は道具扱いなのだ。

 

スポーツ競技でスカートやワンピース型のユニフォームを採用しているものは意外と多い。注視していると、手汗をぬぐうなんてことは普通に行われている。



衣類や布製品も無生物の物品であるが、やはり正当な方法で優しく使われる権利がある。衣類は人間が着るものであるから、着用こそ正当な使用方法なのだが、そこに丁寧に着る、優しく扱うという意識がなければならない。そして、メンテもきちんとすることだ。感謝の気持ちも忘れてはならない。

スカートで椅子に座るときは、生地がくしゃくしゃになって苦しまないように、できるだけ丁寧に腰を下ろすべきだし、しゃがむときは衣類が汚れないように配慮すべきだ。スポーツで使ったウエアも競技後は私服以上のメンテナンスを必要とする。すべて出来ないにしても、少なくともそう意識すべきである。

衣類たちにとって、雜に着られたり乱暴に扱われたりするのは辛いことだ。

そんな目に遭わされたときの衣類たちの気持ちを考えてみよう。



*Step 2 ~Intermediate Course~

衣類・布製品の身になってみる

ぞんざいに扱われていないか、なおざりにされていないか?

もし衣類や布製品が生き物だったら、あるいは自分だったら、そのときどんな思いを抱くか考えてみよう。


リビングルームに、セーラー服やジャンパースカートの制服が脱ぎ捨てられている。姉は高校生にもなって、制服は脱いだらハンガーにも掛けず、ほったらかしだ。そんな光景を日常的に目にする人もいるだろう。

卒業を間近に控えた制服は、表はテカテカ、裏地もくたくたになっている。入学以来、毎日帰宅するとこのザマだ。

姉の学校生活を必死に支えている制服なのに、誰にも大切にしてもらえない。親は「きちんと片付けなさい」というものの、それは娘の躾けのため。制服のことを思っているわけではないだろう。学校制服は卒業したら御役御免となり、処分される運命なのだ。短命な制服を、せめて手元にあるときぐらい、家庭の中にあるときぐらい、目の前で一つ屋根の下で暮らしているときぐらい、大切にしてあげてもらえまいか?

ゴミとして捨てるときに、不審者に拾われると困るからといって、大きく切り裂いた挙句、生ゴミの汁を垂らし、とどめに醤油でシミを作ったという話がある。自分たちのために役に立ってきた制服の尊厳やいずこ。



ネットフリマの出品物である。

商品説明に曰く「中学の頃のセーラー服に絵の具で加工し、ハサミでスカートや裾を切りました!本物の制服なので生地もしっかりしています!」

画像:Rakuten ラクマ

中学校の制服だから、もう着ることもない。妹もいないし、後輩に譲る当てもない。少しでもお金になるんだったら売ってみようかな。でも有名中学じゃないからなぁ。そうだ、コスプレ用に付加価値を付けてみよう。

結果、2,000円でSold Out!

在学中に必死に女子生徒に奉仕していた制服なのに、感謝の欠片も見せてくれない。お金のためにズタズタにされてしまって、もう二度とまともに着てもらうことはないのだ。

こうして売られた先では、一度は使われるかもしれないが、イベントが終わったらほぼ確実にゴミ箱に放り込まれる。もしかしたら、ハロウィン会場の片隅に捨てられているかもしれない。



クローゼットの中を整理していたら、もう10年以上も前に卒業した学校の制服一式が出てきた。もう着ることもないし、存在じたいも忘れていた。断捨離ってことで捨てちゃおう。

捨てられるために引きずり出された衣類たち。

出してみたら、ちょっとかび臭い。テカリもひどいし、汚らしい制服。そういえば在学中もダサイダサイと言われ続けてた。ついでに、このハイヒールもほとんど履いていないけど、もう似合わないからポイ。

不要品となった制服を捨てることは仕方のないことなのかもしれない。だが、制服にも尊厳がある。在学中に女性の役に立てるようにと尽くしてきた自負がある。それなのに、くしゃっと丸めて捨てられてしまうなんて、あまりに悲しい。



衣類たちがどんな気持ちになっているか、分かるだろうか?

たとえ不要品となっても、最期まで尊厳は守られなければならない。制服にしても数年間は着用者のために誠意を持って尽くしてきたのだ。まだまだ着られるものを人間の身勝手な都合で汚損・破損し、売り飛ばしたり邪魔者扱いでポイというのは、あまりに理不尽であろう。

切り刻まれるときのセーラー服の悲鳴は聞こえなかっただろうか。

ゴミとして丸められた制服の呻き声は耳に届かなかっただろうか。



*Step3 ~Advanced Course~

衣類の痛みを知る

衣類たちは嫌な思いや苦しい思いをしたり、痛がったりしたとき声を発している。

人の嫌がることはしない、相手の立場に立ってみるというのは、対人関係を構築するときの基本である。衣類たちについても同じだ。

衣類たちは、何をされようと反抗することはなく、まさにされるがままだ。どんなに酷い目に合わされようとも、じっと耐えている。それを良いことに、私たちは衣類に対して何をしても良いのだろうか?

 

すべての衣類や布製品は苦しみの中にある。

どんなときに衣類たちは苦しみ、かわいそうな状態にあるのかを、このサイトを通じて考えてみよう。



テカテカ(学校制服)

制服メーカーKANKOによると、テカリが発生するのは「生地の表面の毛が、摩擦や圧力で削れたりつぶれたりして平らになり、そこに光が反射するから」だそうだ。

しかし、全国の中高生に制服を着ていて気になることは何かと尋ねたところ、「テカリが気になる」と答えたのは、男子12.4%、女子13.3%だったとのこと。鏡のようにテカテカに光っていても、着用者にはほとんど気にされていないとは意外だ。

テカリは衣類にとっては酷い擦り傷だ。人間だったら相当痛いに違いないのだが。

 

私自身はどうかというと、制服のテカリは非常に気になる。中学1年生のときに見た、上級生の強烈なテカリに圧倒され、以後、テカリを見ただけで可哀想から興奮へ直結する。下校時には、夕日に光る女子生徒たちの制服を観ながら自慰行為したこともある。なぜテカリが、これほど気になるのだろうか?



脱ぎ捨て(航空会社CA制服)

CAが家族や親戚にひとり居ると、珍しいことではないのかもしれない。颯爽と着こなされている制服も、自宅やホテルでは適当に投げ出される。

ロングフライトでは長時間着たままだし、ステイが数日に及ぶ場合は、そのままクリーニングもされない。いや実は、クリーニングするチャンスがあっても、いろいろな理由で億劫がって、そのまま着続けられることもしばしばである。

多くは香水でごまかされているが、顔を埋めて匂いを嗅ぐチャンスがあれば試してみればよい。香水と体臭の交じり合ったにおいはハッキリ言って臭い。制服はそれに常に耐えなければならないわけだ。

 

実は親戚にCAがいる。

秘かにクローゼットを開けると、航空会社の制服アイテムが乱雑に吊るされていた。明日着ていく制服ジャケットは、部屋の片隅にハンガーに引っ掛けられていた。一見するとピカピカだが、近くでよく見るとよれよれだった。

憧れの制服とか言いながら、所詮は仕事着に過ぎないらしい。



しわしわ(和風レストラン制服)

レストラン制服がネット上で取引されているのをしばしば見かける。着用していたウエイトレス本人が制服を買い取らされていて、返却義務を免れている場合もあるので、一概に違法というわけではない。他の企業制服も然りである。

だが、コスプレマニアでもない限り、そんな制服を所有していても意味がないので、ネットで売り払おうと考える。転売された制服の行きつく先は、たいてい男性の性欲解消の餌食だ。他の女性が純粋にコスプレ目的で買い取ってくれたら、それは制服にとってラッキーと言えよう。どんな使われ方をされたとしても、性的虐待を受けるよりはマシなのだ。



踏みつけ(ブラウス)

会社の物置部屋に退職者が残していった制服が放置されていたことがあるが、床に落ちていても拾い上げられることなく、鋭いヒールで踏まれていたりする。

企業制服は貸与品または無償支給品であることも多く、そうなれば扱いもぞんざいとなる。退職してしまったら、本人にとってもう価値はない。

 



玉結び(ウエイトレス制服)

つい先週までレストランのウエイトレスに着用されていた制服ワンピースなのに、突然のモデルチェンジにより、今週からは不要品となった。処分に際して、エプロンもろともすべて玉結びにされて一箇所に集められる。何着もある制服を捨てるには、このほうが扱いやすいと、従業員たちが自主的に括ってしまった。

ロッカーには真新しい制服が収められている。新旧の交代はいつも残酷である。




「かわいそう」の基本

<私が可哀想に感じるもの>

たとえ女性に所有されて着用されている衣類でも、次のような状態にある衣類は可哀想に思える。

・雑に着用されているモノ

・乱暴またはぞんざいに扱われているモノ

・過酷または残酷と思える状態や環境にあるモノ

・思いやりの心を示されずに酷使され続けるモノ

・尊厳が冒されているモノ

・存在自体が無視または軽視されているモノ

・目的外使用されているモノ

・オモチャにされているモノ

・軽蔑、侮蔑、悪口、嘲笑の対象とされているモノ

・謝意を示されずにあっけなく処分されるモノ

・その他、衣類に対するものではなくとも結果的に暴行、虐待、陵辱、恥辱、屈辱などを受けているに等しいモノ

・男性の性欲解消の道具に供されるモノ

 


かわいそうな具体例

*使い込まれてテカテカにテカっている学校制服

*ウオッシャブルなので、ネットにも入れられず洗濯機に放り込まれてガンガン洗われる制服

*網棚に押し込まれたり、ハンガーに吊るされて揺れるバスガイド制服ジャケットやコート

*衣類にあまり関心がないリサイクルショップで、床に落ちたまま客に踏まれて靴型がくっきりついている衣類

*フックに奥襟を引っ掛けられてだらしなく垂れ下がっているコート

*裏地を思い切り表側にして畳まれているジャケットやコート

*ブルセラショップにずらりと並べられて投げ売りされている無名校扱いの中古制服

*ネットで売却したら切り裂かれてズタボロにされ、それをブログに載せられたウエディングドレス

*女子高の教室で女子生徒にウチワ代わりにパタパタ仰がれる制服スカート

*書道パフォーマンスで、墨やインクのしぶきをあびてどろどろにされる着物や袴

*女性が座ったときに膝掛けの代わりに脚に掛けられているジャケットやコート

*幼い子に裾を鷲掴みにされているママのスカートやコート

*入学式や卒業式に感動のあまり流した涙を染み込まされる学校の制服

*しばらく洗濯してもらえないのか、あるいは洗濯しても落ちないのか、シミだらけのまま着続けられている小学校制服

*首に直接まかれて、汗や皮脂で汚されていくCAや携帯ショップ店員の制服スカーフ

*毛皮反対運動のアピールのため、公衆の面前でで焼却される毛皮コート

*リサイクルショップで、洋服用の針金ハンガーに吊るされている和服

*振り回されたり蹴りあげられたりはもちろん、タワーの上から落とされたり、同僚に踏まれたりするチアガールのスカート

*昨日まで崇められつつ大切に保管されていたのに、親バレにて突然切り裂かれて捨てられることになったフェチの衣類コレクション

*お茶会で、正座のまま移動するときに畳と擦れる和服

*男性に捕まり、着用されていやらしい行為に付き合わされるセーラー服

*男性の性欲解消の道具として奉仕させられ、どろどろにされても洗濯すらしてもらえない制服