資料室


「神戸松蔭」の制服について

学校概要

兵庫県神戸市灘区にあるキリスト教の中高一貫校で、私立女子校である。正式な校名は「松蔭中学校・高等学校」だが、東京都世田谷区にも松蔭中学校・高等学校という男女共学の中高一貫校が存在し、神戸松蔭(学校法人松蔭女子学院)とは別の学校法人(松蔭学園)による設置なので、ここでは「神戸松蔭」と呼ぶ。

神戸松蔭は、1892年に創立された松蔭女学校に起源を持つ、伝統ある女子校である。

現在の生徒数は中学校が約300名、高校が約400名である。(2018年4月現在)

なお、高校からの入学も可能だが、推薦入試や帰国子女入試などの枠で、専願入学試験を受ける必要がある。募集は推薦入試で20名ていど。(2021年1月現在)


制服概要

制服は夏冬とも全国でも珍しいワンピース型で、1925(大正14)年に制定された。修道女の衣装をモチーフにしているようだが、元となっているのは卒業生の保護者が考案したデザインの中から選ばれたものだ。生徒はもちろん、地元の人たちほかから絶大な人気を誇る。

冬服は濃紺の長袖ワンピースで、胸元に「Shoin Mission School」の頭文字をデザイン化した赤い刺繍が入る。前後には縦方向にそれぞれ2本ずつのボックスプリーツが入っている。

腰のあたり、左右にアウトポケットがある。

襟とカフスの白い生地はスナップボタン留めになっていて、取り外して洗濯できる。替えは校内購買部で購入できる。

裏地は袖と上身頃のみに付いている。着脱は左肩および左胸部分のスナップボタンとカフスのスナップボタンで行う。

ワンピースのウエストには白バックル付きの黒い合皮ベルトを締める。このベルトは夏服とも共有する。白いバックルにはピンなど無く、ベルトを通して締めるだけである。ワンピース制服本体にはベルト通しがある。

夏服も、生地が異なるだけで基本的には冬服と同じデザインで、着脱方法も同じだ。裏地は付いていない。特徴的なデザインと清潔感の故か、近畿地方では衣替えのシーズンになると、この夏服を着た生徒の写真が地元の新聞などに紹介される。

 

同校は中高一貫校だが、中学校の入学時には入学式が、高校入学時には入学祝福式が挙行される。制服は中高に差は無いので、たいてい6年間着用される。

 

なお、以前(何十年も前)は、冬服ワンピースの上に着るブレザー(上着、ショートコート)が用意されていた時期もあったようだ。胸ポケットにはSMSの赤い刺繍が入っていた。裏地は総裏で、えんじ色のコントラストだった。

近年の入学式や卒業式などの式典においては冬服ワンピースのみ着用されているので、このブレザーも廃止になったようだ。


画像:楽天オク



神戸松蔭 赤い刺繍

生徒の間で、真ん中にアイロンで折り目を一本追加することが流行っていた時期もあった。


白襟を外して、胸元を開いた状態。通常の着脱は白襟をつけたままで行える。ウエストまで開いて着脱する。マイナーチェンジの際、ジッパーも検討されたが、採用には至っていないようだ。裏地は腰から上の身頃と袖のみで、スカート部にはついていない。

素材については、当初は表地:毛100、裏地:ポリエステル100だったが、2013年9月にマイナーチェンジが発表され、表地はウール70%の混紡とすることが決まった(後述)。

画像:ヤフオクpine_remon

画像:ヤフオクpine_petil



ベルト

ピンなどは無く、白いバックルに通すだけで締める仕様である。夏冬共通で使用する。ビニール合皮製だが傷みは早く、1年ごとに取り換える生徒もいる。



ダメージ

6年間も使い込まれた制服には、テカリはもちろんのこと、アウトポケットの端は擦り切れ、生地も補修が必要なぐらい疲弊する。



校章

制服に付ける校章は上部一点のみピン留めし、ぶら下げるようにして装着する。ゆらゆら揺れる様子が涼やかだ。

画像:ラクマモモ



コート

中学生が着るショートコート(ピーコート)。4つシングルボタンで、全部留めたときに下の3つは隠れるデザインだ。表地ウール100%、裏地ポリエステル。

基本サイズはSMLなどの展開。

内側にネーム刺繍が入る。

画像:メルカリ♪


↓高校生になるとロングコートを着ることになる。コシノヒロコデザインで、着丈が115cmほどあるかなり長いコートだ。大きなボタン(4つ)が特徴。

背中のウエスト部分に共布の飾りベルトがあり、小さなボタンが3つ付いている。

表地はサージ。

サイズ展開はSMLを基本とし、実際の体形に応じて肩幅/バスト/着丈/袖丈などを修正してもらえる。

修正なしの場合は、S/M/Lのいずれかのタグが付く。写真は修正ありの別寸指定の例。


↓裏地はポリエステルの総裏付き。

↓左身頃の裾にあるのは記名タグ。

↓左身頃の裏側に付いている素材タグ。表地はウール100%である。



サマーカーディガン

夏服の上に羽織るカーディガン。左胸にSMSの刺繍入り。素材はアクリル70%、ウール30%の混紡である。

画像:ラクマゆう



ブレザー(ショートコート)

もう何十年も前だが、冬服ワンピース制服の上にブレザーを着用することがあった。やや厚手の生地で、ブレザー型のショートコートといっても良いだろうか。当時でも、このブレザーを着ている生徒を見ることは稀だった。裏地は総裏でえんじ色だったのを覚えている。最近は廃止になったのか、見かけなくなった。

↓一見すると、3つボタンシングルのブレザーにしか見えない。

↓写真では黒っぽく映っているが、ワンピース制服と同じ色だ。

↓胸ポケットにある刺繍は、ワンピース制服の刺繍と同じもの。

画像:アド大阪



↓ワンピース制服の上に着たときのイメージ。実際にはワンピースに白い襟と袖が付いている。

↓形はブレザーだが、生地はウールコートに使用されるような厚手のものだ。

ブレザーを着るとワンピース制服の胸の刺繍は隠れてしまうが、同じ刺繍がブレザーのポケットにも付いている。

↓裏地は総裏で、しっとり光沢のあるえんじ色の生地だ。



校内購買部販売品

校内の食堂エクセルホールにある購買部では、次のアイテムを購入することができる。

校章 ベルト 制靴 制鞄 制ソックス 体操服 体育館シューズ 体育運動場用運動靴 体育授業用白帽子 冬制服用替え襟 冬制服用替えカフス 夏制服用ペチコート 夏制服用脇パッド 制カーディガン 等

 

営業時間は月曜日~金曜日、生徒は11:45~11:55、12:45~13:20、保護者は11:45~13:20となっている。

また木曜日の昼休みのみ、購買部で制服の採寸・注文も受け付けている。


仕様変更

2013年に、制服の機能改善のためにマイナーチェンジが行われている。

・神戸松蔭中学校高等学校

http://www.shoin-jhs.ac.jp/life/event/y2013/y2013_seifuku/y2013_seifuku.pdf

2013年9月30日付け「制服の機能改善について」

冬服の素材をウール70%の混紡とする。

夏服の素材は透け防止、UVの軽減、制菌加工を施したものとし、脇汗パッドを採用する。

ヒダが崩れないようヒダの奥にステッチを入れる。 


説明会の様子





体育祭


USBメモリ



ぬいぐるみ

学校内で寄付をした人にのみもらえるという、冬服を着た白熊である。刺繍やカフスなどかなり忠実に再現している。

画像:メルカリmm



夏服バージョンも存在する。



レプリカ制服

神戸松蔭の制服は各方面で人気があるゆえ、中古制服も高値で取引されている。なので、レプリカ制服も複数メーカーから販売されている。レプリカと承知で購入するなら問題ないが、ネットオークションなどで、ときどき「レプリカ」と明記しないで売りに出されていることがある。

本物との相違点は、メーカーにもよるが、表地の生地質、裏地の有無や付いている場所、白襟やカフスの形状と縫い目、胸の赤い刺繍、ベルトの仕様や質感などがあげられる。

なお、本物でもメーカータグがないものが多いので判定材料にはならない。また、素材については本物も以前は冬服表地ウール100%だったが、2013年にウール70%の混紡とすることが発表されている。さらに縫製などにも変更があるなど、長い歴史の中で時代と共にいくつかの相違点が指摘される。

画像:ヤフオク