昭和30年代から後期にかけて、公立校を中心に、学校制服といえばセーラー服か、さもなくば、このようなスーツ型のものが主流だった。写真の例では、濃紺の上着に、ベスト、プリーツスカートというスリーピーススタイルだ。これに白いブラウスを着用する。
上着を脱げば、ベストとスカートという合服スタイルになる。
夏服は、半袖ブラウスに夏用の薄手のスカートが用意されていた。
大阪府の公立高校のスーツ型制服では、このような裏地がえんじ色のコントラストを見せているものが比較的多かった。
外見が地味な分、せめて裏地は少し派手にしようという意見があったのだろうか。
上着の内ポケット付近には、生徒の苗字が刺繍されていることが多かったが、写真の上着ではネーム刺繍部分が切り取られている。不要品となって処分されるときに切り取られたのだろう。学校生活の中で懸命に生徒に尽くしてきた制服も、ネームが切り取られたら、着用生徒との縁も切れてしまう。悲しい瞬間だ。
冬服にセーラー服を採用している学校の場合、夏服(盛夏服)とは別に合服として夏仕様の長袖セーラー服を指定していることがある。生地質は半袖の夏服と同じだが、袖だけが長袖である。
写真のようなセーラー服の場合、襟とカフス(袖口)が取り外せるようになっているものも多い。本体部分だけ洗濯機で丸洗いする想定だ。最近は生地の進化により、取り外さなくとも丸洗いできるような仕様も多い。写真の高知商業の中間服も、そのまま洗えるようになっている。
中間服にも胸ポケットが付けられている。スカーフはスカーフ留めにしっかりと丸め込まれている。
外見上の特色として、襟やカフス(袖口)に紺色の生地が用いられていることがあげられるが、もう一つ大きなポイントが、中間服にもかかわらず、襟の裏地裏地が付いていることだ。
冬服のセーラー服といえば濃紺色や黒色がふつうだが、いくつかの学校が白色またはクリーム色のセーラー服を採用している。生地は一般的な冬服に使われているサージが多い。
裏地も白色の生地が使われる。
白いセーラー服は見た目は清楚で綺麗なのだが、表地は黒ずみなどの汚れがすぐに目立ってくるし、裏地は汗ジミなどで黄ばみやすい。
テカリはセーラー服の表地ではあまり目立たないが、紺色のスカートは一般的な制服と同じく激しくテカテカになる。
冬服でセーラー服を採用している学校でも、夏服はブラウスタイプというところもあれば、夏服や、夏服の生地で長袖の中間服もセーラー服で一貫している学校も少なくない。
その場合、ラインの色や数などをまったく同じにすることもあれば、色を変えることもある。スカーフも共通の場合もあれば、色を変えることもある。
写真のセーラー服の場合は、冬服の身頃が白いので襟とカフスを紺色にし、夏服と中間服は白一色だ。リボンタイは紺色で共通している。紺色サテンのリボンタイは白地に映えて美しい。
夏冬ともセーラー服だが、夏服は水色という特徴的なセーラー服である。
Instagramの投稿を見ると、ひとりの女子高生が学校生活を送るのに、どれだけの制服が消費されるのかが分かって、あらためて震える。ひとりの女子高生が卒業すると、これだけの制服たちが不要品となるのだ。制服がクローゼットの場所を取るので、早く処分したいと考えるのも無理はない。
「@mo.mo622 こんばんゎ😊 只今、断捨離中にて 娘の制服を捨てるのもなぁ🤔 と思い同じ学校の方に差し上げます🤙 ちなみに(学校)ゎルーテル学院高等学校です😊 取りに来て頂けると助かります🥺 ※サイズは少し小さめで娘150㌢程でした🤫 追加 ※冬服1セットサイズ大きいのあるよ! あと夏服のスカート1つすごい短いのある! ・ ・ ・」
画像&出典:Instagram mo.mo622
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看護師を養成するコースでは、実習時に着用するナース服(実習服)が用意される。
看護科以外でも、福祉系のコースや調理系のコースなどに実習服がある。
昨今では男女の差をなくすためか、ワンピース型は姿を消しつつあり、上衣にパンツ型のものを着用することが多くなった。
平成期の制服モデルチェンジ・ブームとも言えるころに、伝統的な制服が次々と廃止され、変わって、欧米風のブレザータイプが多数導入された。冬服は、上着にエンブレム付きのブレザーを着用し、スカートはチェック柄だ。
上着が紺色、スカートがグレーという組み合わせは古くから存在していたが、これが現在のブレザー+チェックスカートの先駆けではないかとも思える。少しでもおしゃれ感を出そうとしてか、上着の裏地は派手目のえんじ色だ。表地との対照的な色合いは、個人的には大好きなパターンである。
現代において、このパターンは、セーラー服から脱却してモデルチェンジした公立中学校の制服に多く採用されているような気がする。生徒をかき集めなければならない私立学校においては、このやぼったいデザインをとっとと捨てて、早々とおしゃれなブレザー&チェックスカートタイプに移行している。
早くからブレザー&チェックスカートのスタイルを導入していた学校である。防寒対策のひとつか、スカートにもブレザーと同じ裏地が付けられている。裏地付きの制服スカートは現在でも珍しいが、女子生徒たちは動きが激しいし、座り方も雑なので、裏地の傷み方は半端なものではない。
また、裏地は汗でべたつきやすく、太ももに張り付いたりして着心地がよくないと言って、切り取ってしまう生徒もいるという。
ボレロというのはボレロジャケットのことで、元々は着丈の短いジャケットを指すが、制服については、画像のように前ボタンがなく、襟元のみで留めるような上着のデザインを指すことが多い。ボレロタイプは、小中高を問わず採用例がある。
前身頃は襟元のみフックまたはひとつのボタンで留めているだけなので、上着の前が翻ることも多く、裏地に関心が高い私としてはドキッとさせてくれることの多いデザインだ。
この大妻嵐山の制服もそうだが、ボレロタイプの上着には、取り外し可能な襟が装着されているデザインが多い。そうでない学校の場合は、下に着るブラウスの襟を上に重ねて着るのが普通だ。ブラウスの襟が角襟がよいか丸襟が良いかは好みが分かれるところであろう。
また、このタイプを採用している制服では、下にはジャンパースカートが多用されるが、一般的なスカートの学校もある。
個人的にはボレロとジャンスカの制服は大好きなので、同パターンの制服を各種集めてみたが、この大妻嵐山の制服はさまざまな意味で秀逸である。
大阪市の南隣にある堺市に1969(昭和44)年、全日制普通科7学級にて開校した公立高校で、1期生から画像のようなボレロの上着とジャンパースカートを採用していた。当時の府立高校の制服はセーラー服でなければ、濃紺一色の上着とプリーツスカートというのが定番だったから、やや明るめの色合いで、しかもボレロというデザインは斬新だったに違いない。ブラウスも指定のものがあり、襟は角襟である。
全体の印象は先に紹介した大妻嵐山に色合いやデザインが酷似しているが、襟がブラウスのものであること、赤いタイを付けること、スカートが28本車ヒダであることなどが相違点である。
5月中旬にはボレロを脱いでジャンスカのみの「合服」での登校が認められ、6月中旬に半袖ブラウスと夏用スカートへ衣替えすることとなっていた。ちなみに夏服のブラウスはウエスト部分で切り詰められて絞ったデザインなので、腕を上げるとセーラー服のようにお腹が見えてしまっていた。夏服にリボン類は付けない。スカートは一般的な濃紺の車ヒダスカートで、夏服はいたって平凡なデザインだったが、採用者に言わせると、これでもブラウス形状に変化をつけたつもりなのだろう。
2000年に入ってすぐぐらいにジャンパースカートが廃止されたが、ボレロは残り、同色のプリーツスカートを合わせる仕様になった。ジャンスカは着心地が悪く、気候に対しても調整が難しいという理由だったようだが、ベストのないデザインはボレロには似合わないと個人的に思う。
2015年入学生より制服がフルモデルチェンジし、約45年続いたボレロも2017年の卒業生を最後に無くなってしまった。
冬服の素材はほぼ一貫して表地:毛100%、裏地:ポリエステル。
↓採用当時は斬新なデザインだったボレロ&ジャンスカ制服。ボレロ上着には左右に切りポケットがある。襟元にはフックがひとつあり、きちんと留めるのがルールだ。
左胸に校章を付ける。
↓上着を脱いだ状態で「合服」と呼ぶ。明るい紺色にちらっと覗く赤いネクタイが可愛い。
ベルトは共布で、プラスチックの角型バックルで締める。ベルトの先はスナップボタンが付いているが、ベルト通しに差し込んだり、括りつけたりする。
5月中旬から6月中旬と、9月中旬から10月中旬の期間は「合服」スタイルで登校していた。夏服以外の指定ブラウスは長袖のみなので、ジャンスカには長袖姿が基本だ。
ブラウスの袖はスナップボタンで留める。
↓同校ジャンスカの特徴として左肩の留め方があげられる。半分縫い閉じられていて、スナップボタンはひとつのみ。半分閉じられているのはすべてのメーカー共通仕様だが、スナップボタンが2つのものもある。
↓左脇開閉で着脱するが、初期タイプはスカート部もジッパーではなくスナップボタン留めだった。
裏地は上身頃のみ。
↓校章は学年章を兼ねており、色分けしているが、固定されているわけではなく、入学時に付けたものが持ち上がりとなる。ちなみに1期生は青色で、2期生が黄色、3期生が緑色で以後繰り返しになる。
この色は上履きの色とも連動している。
↓赤いネクタイはハネクトーン製で、短いもの。ジャンスカ着用時のみ装着し、先は常にジャンスカに隠されるので、この長さになったのだろう。上級生になるとつけない生徒がいた。
画像:制服市場sunshain_19630517
↓余談だが、同校によく似た校章の学校を見つけた。宮崎県立都城西高校だ。両校とも公立高校だが、何の関係もない。
↓都城西の制服は泉北とは似ても似つかぬデザインだが、この不思議な色は葵碧(きへき)色というそうで、ありふれた濃紺でないのは同じ趣向か。ただし、この珍しい色の制服は最近モデルチェンジしたようだ。
↓2022年の創立60周年に合わせて4月より新制服となった。泉北高校よりはいいセンスをしている?
画像:Palm’s
泉北高校は2015年入学生から新規に採用された制服は微妙なデザインだった。
新しい制服は襟が幅広で丸い形状のブレザーで、セーラー襟でもない中途半端な印象なのだ。生徒たちの感想も芳しくなかったせいか、登場して5年後の2020年入学生から、男子と同じく一般的な襟のブレザーを選択することも可能となったようだ。口コミサイトによると、丸襟ブレザーはあまり人気がなく、3年生はほとんど着ていなかったという。捨て置かれたブレザーの哀れなことよ。
ちなみに現行モデルではブレザーとスカートは紺色のみだが、それ以外のそれぞれのアイテムに選択肢があり、カッターシャツは白・青・ピンクの3種、ベストはグレー・白の2種、セーターはグレー・紺の2種が用意されている。リボンは水色と白のストライプで、ネクタイも選べるという。公立高校でもバリエーション豊富な世の中なのだ。もっともリボンもネクタイも夏場は付けなくてもよいというから、その存在価値は何なのかと思ってしまう。
↓スカートはヒダが少なめが今ふうなのだろうか。裾にはSの刺繍入り。
ジャケットのボタンは4つもいらないと思う。
素材は表地が毛50ポリエステル50となった。裏地はポリエステル。
↓首元迄ボタンで留めるデザインのジャケットは、ボタンを留めないで着るとダサく見える。
画像:制服市場 black_night597879
画像:学生服MIKIYA
↓2015年度にモデルチェンジした女子制服のブレザーは、中途半端なデザインの襟が付いている。もっと思い切ってセーラー服の襟にすればよかったのに。結局、生徒にはあまり人気がないようだ。
↓やや広いだけの襟。
画像(上2点):制服市場 Chiroclo
↓2020年度入学生からは、男子のブレザーと同じような襟のデザインも選択可能となった。
制服ブレザーなのか、リクルートスートなのか、どっちつかずの平凡なデザインに収まってしまったのが残念である。
画像:制服市場 Chiroclo
旧型の制服。
紺色イートン型の上着に長袖ワンピースという、学校制服としては珍しいデザインだった。
ワンピースは胸元のボタンで着脱する。スカート部にはボックスプリーツが入っている。
上着は総裏だが、ワンピースも袖以外の上身頃とスカート部に裏地が付いている。
ワンピースの裏地は、ポリエステル製のものとキュプラ製のものが存在しているが、いずれもつるつる生地ですべりは大変良い。
胸元に智弁学園の校章マークが刺繍された、古いワンピース型の制服。
神戸の松蔭高校のワンピース制服に似ているが、神戸松蔭は今も現役で採用されている。
ジャンスカとは異なり、冬服としてワンピース型の制服を採用している学校は比較的少ない。
夏服や盛夏服でワンピースを採用している学校は、小中学校を中心にいくつか存在する。
この智勉学園のワンピース型制服については、襟ぐりの内側にボタンがあるので、取り外し可能な襟を付けるものと思われる。情報がほとんどないため、詳しいことは分からない。
ウエストはバックル付きの共布ベルトを締めて、ボディコンシャスなシルエットである。
カフスはセーラー服に似ている。左右にアウトポケット有り。
スカート部は、神戸松蔭と同じく、凸型のプリーツがある。
着脱も神戸松蔭と同じ仕様で、左前身頃のスナップボタンによる。
なお、裏地は袖を含む上半身のみに付いており、スカート部に無いことも神戸松蔭と共通している。ただし、この制服の裏地は薄いえんじ色のコントラストである。
ベルトを外し、うつ伏せにして床に広げると、背中から裾にかけてかなりテカリが酷いことが分かる。
1925(大正14)年から続く伝統あるデザインの、夏冬ともワンピース型制服である。卒業生の保護者が考案したデザインの中から選ばれたものらしい。当時、女学生のほとんどは和装だったので、斬新で先進的なイメージがあったことだろう。
冬になると、ワンピース制服の上に紺色のカーディガンを羽織る生徒が多く、別途ブレザーも用意されている。
2013年に一部の仕様変更が提案された。
着脱は夏服・冬服とも同じで、胸元のスナップボタンを開閉して行う。
冬服の白い襟とカフス(袖口)はスナップボタン留めで取り外し可能である。ときどき外して自宅で洗濯する。替えは校内購買部で購入できる。
裏地は腰から上と袖に付いていて、スカート部には無い。
寒さ対策としては、上にカーディガンを羽織るか、極寒期にはショートコートまたはロングコートが用意される。昔はハーフコートのような上着があったが、最近は見ない。
夏服は半袖のみで、シルエットや縫製は冬服とほぼ同じ。季節が変わる時期は上にカーディガンを羽織る。
ベルトは夏冬兼用で、白いバックルにはピンなどなく、通して締めるだけの仕様だ。
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最終更新日:2024年11月16日
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