学校コート(スクールコート)

独自デザインで学校制定のコートがあるのは、主に私立校である。国公立校は、標準タイプのコートを指定しているか、または色柄の範囲を限定して自由化しているかのいずれかである。

学校指定の春コートの販売(斡旋)は制服オーダーと同時に行われることが多いが、冬コートについては、入学後、初めて迎える秋ごろに行われる。ハーフタイプ、ロングタイプ、ダッフルタイプなどいくつかの選択肢が提示されて自由に選ぶパターンが多い。

購入申し込みは、新入時だけでなく2年次以降も希望があれば購入できる。

 

新入生は、意気込んでハーフタイプとロングタイプの両方を購入してしまったりするが、寒さ厳しい北国でない限り、意外と出番がなかったり、あるいは総裏のトレンチタイプを常用したりするので、せっかく購入した上等なウールコートも、ほとんど新品のまま卒業を迎えてしまう。

そんなコートは、後輩に譲られればよいほうだ。使い込まれてくたくたになった制服はすぐに処分されても、コートはほとんど新品同様のまま捨てるに捨てられず、クローゼットの肥やしとなる。もったいないと思った母親が、学校エンブレムや校章を外して、自ら着用することもある。こうして、学校コートは本来の役割とは異なる使われ方をすることが多いが、着用されるだけマシかもしれない。

 

一方で、コートが必需品である地域においては、過酷な環境の中で酷使されまくる。

風雪にさらされ、長い冬を過ごさなければならない。クリーニングもワンシーズンに1回程度だ。卒業するころにはクタクタになる。北国の学校で使われるか、それ以外の地域の学校コートに指定されるかでその過ごし方は天と地の差がある。

 

なお、学校コートについては、当サイト内「資料室」の学校別ページにも記載している学校があるので、併せて参照いただきたい。

 ・土佐女子

 ・神戸松蔭

 ・武庫川女子大附属

 ・宝塚音楽学校 


ルーテル学院 ボックスコート

襟元にボタンが付いていて、ポンチョ風のデザインになっているショート丈のコート。下のほうに隠しボタンがある。写真のコートはかなり使い込まれた跡があり、比較的幸せな学校生活を送っていたかもしれない。



大阪薫英女学院 ハーフコート

金色のダブルボタンが豪華なハーフコート。しっとりした裏地が付いていて着用すると暖かい。大都市部の女子中高生には、このように動きやすく軽快なハーフタイプのほうが人気があるようだ。



大阪府・淀之水高校 ハーフコート JUNKO KOSHINO

私立校の指定コートには有名デザイナーを起用したものも多い。生地も上質で裏地まで凝っている。



愛知県・南山高校女子部 ハーフコート



某私立高校 ハーフコート

コートは人前で脱ぐことも多いので、脱いだ時におしゃれ感を出すためか、コントラストのある色合いの裏地が使われていることもある。学校コートでは、制服に見られるようなえんじ色の裏地がよく使われている。



大阪府・大谷高校 ハーフコート



東京都・女子美術大学附属 ウールコート

一般的な制服ウールコート。暖かくてよいがかなり嵩張る。脱いで運ぶとき、女子生徒たちはかなり面倒くさそうだ。それゆえ、結局あまり着なくなってしまう。安いものではないのに、生徒たちは親に買ってもらって自分の懐は痛まないせいか、大切にする気は無さそうだ。



大阪府・城南学園 ウールコート



大阪府・泉州高校 ピーコート



盛岡白百合学園 ロングコート

北国の学校なので、厚手生地でしっかりしている。裏地も肉厚な光沢生地で派手な色遣いで、中に着るセーラー服をしっかり包み込む。さすがに出番が多いので、3シーズンも使われると、ウールの表地はかなりくたびれてしまう。



高知県・土佐女子高校 スプリングコート(半裏)

こちらもセーラー服を包むコートだが、南国の学校ではどっしりしたウールコートはいらない。真冬のコートは表地がウールカシドス、裏地がポリエステルでセーラー服と同じ生地を使い、裏地だけ総裏にしている。同じデザインで、半裏にしたものも存在し、むしろそちらのほうが出番が多そうだ。写真は半裏のコートだが、この学校のコートは総裏か半裏かは外からは一見して分からない。



膝掛け

制服コートを膝に掛けて寝ている。

画像:ネットサイト