舞台(演劇/歌劇)

舞台で使われる衣装は、ドラマや映画のように都度台無しにされるものはほとんどない。

その代わりに、同じ衣装が公演中に何度も使われることになるので、着用による生地の摩耗やほつれなどの傷み、皮脂や埃その他による汚れが蓄積される。

ほつれや破れは頻繁に修繕されるが、公演団体の規模や技術によって仕上げにムラが生じる。汚れなどは目立つものでなければたいていの場合は無視される。

 

また、汚れを強調する演出に使用される衣装は、あらかじめ切り裂いたり血糊をつけておいたりされ、それが使いまわされる。

 

アイドルが着用する衣装も同じ。

激しいダンスなどを伴うものは、傷みや汚れもひどくなる。


吉本新喜劇

以前、藤さとみという弄られ役の女性が在籍していて、舞台上で他の出演者からとび蹴りされたり、投げ飛ばされたりしていたことがある。彼女はセーラー服などを着ていたが、スカートが大きく捲れ上がったり、舞台上を引きずり回されたりするのを観客は大笑いで観ていた。

いま思うと苛めの典型であり、お芝居の演出であっても許されることではない。


宝塚歌劇

衣装はすべて親会社である阪急阪神百貨店製で、長期の使用に耐えうる本格的な造りである。


アイスショー 『ディズニーオンアイス』

氷上で繰り広げられるミュージカル。日常生活ではありえないスピードで移動したり、高速で回転するので、着用しているドレスなどが激しく振り回される。回転を止めたときにスカートが脚にまとわり付く様子も哀れだ。また、コートやマントが氷上に脱ぎ落とされて放置されることも。衣装に冷たい水が染み込んでいく。

ディズニーオンアイスの『アナと雪の女王』など。


歌劇『夢遊病の女』(La sonnambula by V.Bellini, 1831)

メトロポリタン・オペラでは、大勢の男女たちが、様々な衣装を乱暴に振り回したり放り投げたりするシーンが続く。



ステージ(音楽ほか)

アトラクション

制作中

振袖

襟巻き05:14


襟巻き05:22

襟巻き05:38









PV(プロモーションビデオ)

一瞬だけ写るシーンの撮影のために、衣装が作られたり改造されたりする。荒々しい場面に耐えている衣類たちも少なくないが、衣装はあくまで添え物に過ぎない。和服は本来の着方とは違って、着崩されている場合も多い。バックダンサーたちの衣装にも注目したい。



ハード系バンド(パンクロック/ヘビーメタルほか)

セーラー服や和服など、本来ならば場の雰囲気にそぐわないものを、あえて衣装として採用する例もある。そして、それらは荒ぶれた効果を高めるために、雑に着られ、乱暴に扱われる。男性が女性の衣類や和服を着ることもあり、途中で引き裂かれてしまうこともある。ステージ衣装として誂えられたものではなく、本物の衣類が使われていると、いっそう可哀想である。



外国人歌手

西洋人歌手を中心に、単なるステージ衣装として振袖や婚礼打掛などの和服を着ることがある。たいていの場合まともに着つけてもらえず、ひどいときはガウンのように羽織って、振袖なのに裾をずるずると引き摺られたりと、和服として扱ってもらえない。当然、保管されるときも正しく畳まれることはないだろう。

そもそも私は、外国人が面白半分、興味半分で日本の和服を着用することについて、あまりいい気がしない。着物に憧れて、きちんと着付け、丁寧な所作で過ごすのなら大いに結構なのだが。

 

和服をそのままの形ではなく、改造したり、和服っぽい衣装にしたりする例もある。改造したものでなく純粋に衣装として作られているものもあるが、それはそれで「可哀想」を感じる。

 

歌手Katy Perry(ケイティ・ペリー)のコンサートのひとつに、着物を衣装にしたステージがあった。

Katyのスタイリスト、Johnny Wujek氏によると、Katyの振袖もダンサーの着物もすべて本物の和服をドレスとしてリフォームしたものだという。八掛(裏地)もそのまま使われているようだ。

よく見ると、腰から下には左右に大きくスリットが入れられ、襟もチャイナ風の立て襟にされている。日本伝統の民族衣装なのに中華風に侵されてしまっているわけだ。着物たちも妙な形に変形された姿をさらされて、さぞや惨めな思いをしたであろう。

この衣装については「人種差別である」という抗議も起こったようだ。いやしかし、そんなことよりもまず、着物のことを哀れんでほしい。

 

参考→https://blog.excite.co.jp/nyliberty/21570561/



奇抜なLady Gaga(レディ・ガガ)は、何にでも大胆だ。振袖をそのまま外出着のコートのように着ている。しかも屋外にもかかわらず、地面をするずると引き摺りまくっている。写真の日は雨上がりのようだ。裾は汚れまくっているはずで、これだと消耗品扱いである。

この振袖は、「こんな風に着るんじゃないわよ・・・!」と必死に叫んでいたに違いない。

画像:ONTD

画像:ONTD

画像:Evil Beet Gossip



Freddie Mercury(フレディ・マーキュリー)がステージで振袖を着たことがある。ちらりと垣間見える胴裏(裏地)や袖裏の仕立てを見ると、本物の和服、おそらく花嫁衣装の着物(打掛)だと思われる。裾は引き摺られまくっているせいで、写真からも黒ずんで汚れまくっているのが分かる。ステージでは雑に脱がれて放置されたりする。汗でドロドロになっていることだろう。かつて日本の花嫁をきれいに飾った打掛が、まさか男性に羽織られ、こんな過酷な環境で使われるなんて想像もしていなかっただろう。着用者が有名人であっても、こんな使われ方を、打掛はどう思っているだろうか。

画像:picclick



海外TV番組 蔡幸娟

蔡幸娟は台湾の女性歌手で、東南アジアではテレサ・テンの後継者と言われるほどに実力のある有名歌手である。日本ではほとんど知られていないのが残念であるが、私は彼女がアイドル的存在であったころからファンクラブにも入り、ひそかに応援してきた。

外国人が和服を衣装として使う例は多い。異国で雑に着用されたり、ぞんざいに扱われたりすることもしばしばだ。

この歌唱番組では、日本の歌に合わせて、蔡幸娟が花嫁衣装の振袖を着ているが、途中で裾をダンサーに踏まれて、一瞬戸惑っている。

振袖もずるずる引きずられているし、彼女自身にも踏んづけられたりしているが、蔡幸娟が素敵なので許す。



海外ステージ American Burlesque

アメリカン・バーレスクは、パフォーマンスの途中で、衣装をひとつずつ派手に脱ぎ捨てるステージが特徴だ。ストリップショーに似ている。ステージ用に作られた衣装や、街に出てもおかしくない衣装まで様々な衣類が登場する。

日本にもバーレスクと称するステージはあるが、アメリカンとはかなり印象が異なる。衣装が可哀想に感じるのは、圧倒的にアメリカンのほうである。

衣装たちは、ダンサーにさんざん玩(もてあそ)ばれた挙句に、邪魔者と言わんばかりに乱暴に脱ぎ捨てられてしまう。その様子が可哀想で目が離せない。これら衣装は特殊な環境下に置かれているものかもしれないが、衣類であることに変わりはなく、それを想うと、一般の女性たちに普通に着られている衣類たちが如何に幸せであるかと考えてしまう。詳細については、別ページで動画を中心に紹介する。

なお、紹介している動画について、一部に視聴者を選ぶものがあるので、お子様には見せないように配慮願いたい。 

[R18]18歳以上の方のみ入場いただけます。